フランスの寒村で女性が失踪した事件をめぐって、さまざまな人の視点と人生が交錯し、真実が明らかにされていくスリラー。
『藪の中』のような巧みな構成で、上質なミステリーに仕上がっている。
それぞれが"愛されたい"と願う中で、誤解やすれ違い、虚無感やフラストレーションが溜まってしまう。
そうした愛の歪みが、愚かで醜悪な人間のさがを炙り出す。
ミステリーでありながら、真相究明以上に重要なテーマが描かれているストーリーが凄い。
意外にも、物語のきっかけとなる"偶然"はたったひとつ。
俳優陣の演技アンサンブルも見応えある。