MinaMi

わたしの叔父さんのMinaMiのレビュー・感想・評価

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)
3.6
小さな田舎町で家族の死を乗り越えて生きる登場人物の姿に『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を思い出した。
台詞も音楽も非常に少ない。冒頭はあまりの静かさにこれは寝てしまうのではないかと心配になったが杞憂だった。画面の切り取り方が素晴らしく、絵画のようなカットの美しさに目を奪われる。牛や空や土や老人など平凡な被写体にも関わらず、ぼんやりとその美しさに見惚れる。監督とカメラマンの力量を感じる。
老いた叔父の介護のため獣医の夢を諦めて田舎で暮らす女性クリス。それだけ聞くと重苦しい映画を想像したが、独特の間で描かれるユーモアにかなり笑った。
ラストシーンはある意味意外だったが、無音のエンドクレジットに余韻を感じて納得した。
義理というか執着というか負い目というか。父と娘ではないからこその微妙な関係性。静かな映像を通して伝わる人間の機微はデンマーク人も日本人も同じなんだと思った。
この映画には悪い人が全く出てこない。ものすごい事件が起きるわけでもなくても映画は作れるし、人は泣ける。

・脚本 6/10
・演技 8/10
・演出 8/10
・音楽 7/10
総合点 29/40
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