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約束のネバーランドのEDDIEのレビュー・感想・評価

約束のネバーランド(2020年製作の映画)
3.0
「見ぃ〜つけた!」
怪演の渡辺直美、キャラクター演技はさすがの浜辺美波と北川景子。
ただ子役キャスティングに難あり。役者に罪はありません。
展開はアニメとほぼ同じなので土台は面白いんだけど、演出がすべてを打ち消している気が…

正直思ったよりも楽しめました。期待値が高くなかったのもありますが。
先日アニメシリーズのシーズン1を一気見して、実写版も観たくなり鑑賞。TOHOシネマズデイでもあったので。

アニメは本当物語に引き込まれて12話分一気見しました。とても面白かった!(まだレビューしてないのでそれは改めて)

良かった点は純粋に主要大人キャストの演技ですね!
何よりも印象に残ったのはシスタークローネ役の渡辺直美。芸人出身ですが、この人本当に多才ですよね。表現力は下手な俳優よりも凄いと思います。
『リメンバーミー』や『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の声優も素晴らしかったですし。
本作ではちょっとやり過ぎなところもあったんですが、そこは演出の問題な気がします。彼女自身、アニメのシスタークローネ以上の怖さを帯びていたと思います。

ママイザベラ役の北川景子もキャラクター演技はさすが。演技が酷いとか大袈裟と揶揄される彼女ですが、個人的にはアニメ実写版のキャラクターとか『家売るオンナ』みたいな役柄は抜群の巧さで演じていると思います。
とはいえ、先日鑑賞した『ファーストラヴ』はキャリアハイと思えるぐらいの名演を見せているので、できれば「演技が悪い」という固定観念を捨てて彼女を見てほしいなという思いです(『スマホ〜』とか『響』とかは酷かったですけど笑)。

主人公エマ役の浜辺美波も文句なし。アニメ原作のエマの快活さや奔放さ、劇中絶望に打ちひしがれた時の光を失った目など、もはや完璧ではないでしょうか。
彼女の滑舌の悪さは快活な少女や女性の役柄であれば、何も気になりません。

撮影はとても良かったですね。アニメ同様、醜悪な何かが潜んでいる孤児院の悍ましい雰囲気を、さすがの今村圭佑さんが見応えのあるカットを撮ってくれました。

さて、ここからは気になった点。

まずどうしても目につくのは子役のキャスティング。
主要3人の年齢を見てみましょう。

エマ役:浜辺美波(20歳)
レイ役:城桧吏(14歳)
ノーマン役:板垣李光人(18歳)
※公開年2020年から逆算

アニメは彼らは12歳を目前とした11歳なんですが、劇場版では15歳の設定。
ここには何の異論もありません。主要キャストを12歳ぐらいの若手で揃えると映画になりません。年齢設定を上げて実力派で客も呼べる浜辺美波をキャスティングしたのは英断でしょう。
ただそれならその理念を貫いてほしかったのです。残念ながら、レイ役の城くんだけがあまりにも浮いた演技をしていました。言葉を選ばずに言うと下手くそでした。
けど、それは役者の責任ではありません。売り出したいという事務所側の想いもあったのでしょう。ただそれは逆効果です。
ノーマン役の板垣くんが十分に上手かったことを考えると、レイ役には同世代ぐらいでもっとできる役者をキャスティングすることもできたはず。
ちょっと見ていて可哀想なぐらいでした。
幼少の役者たちが実力がバラバラなのは想像も容易なので気にはしませんでしたが、この年長組の演技力の差は気にしないのが不可能でした。

あとは演出面が酷い。
一番酷かったのは序盤のエマとノーマンが孤児院の秘密を目にして逃走するシーン。
逃げている最中にエマが声を上げて大号泣するんです。しかも草原の上で。いやいや、それ見つかるやろと。
ほか、ちょっとコメディ感を渡辺直美で出したかったのもあるんでしょうが、岩場を走り登るシーンで、あからさまなカット編集がなされており、奇妙な映像が出来上がっていました。おそらく渡辺直美さんが登れかったのでしょう。けど、もっとやりようはあったはず。

平川雄一朗監督って相性良くないんですけど、純粋に演出がとんでもないと思うんです。作品ラインナップを見て納得したんですけど、『記憶屋』の監督なんですね。
2020年の私のワースト映画の一つですが、なんだかもっと自然にすればいいのに監督の変なクセというか欲が出てる気がするんですよね…。
この人もドラマだったらいい監督さんなのになぁ。

苦言も多かったですが、好きになったアニメの実写化ということで、観れて良かったとは思いました。

※2021年劇場鑑賞15本目
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