ハーデイ

ウォッチメン アルティメット・カット版のハーデイのレビュー・感想・評価

5.0
これなしに現代のヒーローものは語れないのでは、とにわかながら思う。

予見していたのか、今も昔と変わらないのか現代社会を捉えている。

まさに現代はロールシャッハとオジマンディスに溢れている。
明確に善と悪があり悪は滅ぼさねばならないと考える人々。しかし確かに裁かれるべき人間はいる気がする。
インテリでサイコパス的カリスマ性があり、しかし求めるのは最大利益、そこにあるのは数字のみで誰と言うのはない。
多くの人間はナイトオウルたちの様に妥協の中に生きる。

個人的にこの中で共感できるのはDr.マンハッタン。超人超自然的で神の如く全知全能、人間性に欠け万能の様に描かれているが、たった一人全てを理解できたとしてもそれを他人に理解してもらうことは難しく、未来が見えたとしても正にコミックの如く続きを変えるまでの力はない。結局は来る運命に従うしかない。
宇宙規模では些細な事。と言いつつも自分が原因で身近な人間がガンだと言われれば取り乱し、人間との繋がりはたった1人の女性だという。
これは知れば知るほど知らない事が増え、認知する世界が広がるほど無力感を感じるよう。
嘘や誤魔化しで丸め込まれているとわかったところでそれを暴いたり逆らえるほどの力を持っていない時がある。甘んじるか立ち去るか。
ハーデイ

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