一花

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームの一花のネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

「大いなる力には、大いなる責任が伴う」
スパイダーマンシリーズには名台詞が多くて、新しい作品を見るたび、口癖にしたくなる。

本作品で描かれているのは、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で「自分に何かできるのに、しなかったせいで悪いことが起きたら、自分のせいだと思う」と語ったピーター・パーカーが、さらに自らのresponsibility を拡張して、「マルチバース=異なる世界」で起きたことも含めて、まるっと自分が引き受けてしまうという、壮大な成長譚である。
「ヒーローであること」を引き受ける、という主題。
そしてそこに、「行きすぎた科学技術に我を忘れたヴィランたちは、科学技術と人間を切り離すことで cure(キュア)できる」というテーマが加わる。
悪役であっても、殺されていいわけはない。彼らが悪の道に堕ちたのには理由があって、それさえ取り去ることができれば、彼らは殺されず救われていい存在だ。
悪役を「治す」ために命を張るピーター。おひとよしすぎるスパイダーマン。それこそが、インクルージョン&ダイバーシティの時代を生きる「今のヒーロー」像なんだ、という強いメッセージに、涙しかない。
願わくば、世界中の子どもたちが、ピーターに共感する心を持つ世界であってほしい。

電気ウナギの水槽に落下して怪人となってしまったマックスが「スパイダーマンは、黒人だと思ってたんだ・・」と素直な期待を吐露するシーンや、アンドリュー・ガーフィールドのピーターがマルチバースのMJを救って感涙するシーンなど、人間描写が細かすぎて、美しすぎて、もう、もう、最高。

スパイダーマンシリーズ、すべて見返してから、もう一度「ノーウェイホーム」を見返したい!!
一花

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