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ファースト・カウのpenのレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
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冒頭に船がゆっくりと画面を横断するが、その映像がこの映画で流れる時間を提示する。その時の流れに身を浸せれば、あとは持たざる者達による友情に貫かれた犯罪映画を楽しむことができる。
進行はゆったりとしているが、二人に待ち受ける状況はスリリングだ。これは「ミークス・カットオフ」での牛が川を渡れるかどうか、ゆっくりとした中で起こるサスペンスを連想した。

クッキーはいっとき組んでいたグループの中では大人しく、家があれば外に出るよりもその中に身を置き、対してキング・ルーは外出して行動する。冒険者的な性格なのは、どちらかといえば後者だ。その二人がガラスのない窓を通して向かい合い、やがて合流する。窓はこの映画の画角と同じサイズで、映画であるからこそ二人は出会い、友情を育めたのではないか、なんてことを考えてしまう。

映画の始まり方は当然作品によって千差万別だが、本作の始まり方は少し意表を突かれた。そしてそれは作品を観終わった時、彼らに思いを馳せてしまいたくなる余韻を生む。
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