ロッツォ國友

ジャンゴ 繋がれざる者のロッツォ國友のレビュー・感想・評価

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
4.4
「Dは発音しない」


いたずら小僧が歯医者に見初められて妻のためにき◯たまを早撃ちするお話。


なんだか古いカメラワーク、使い古された書体、年代を感じさせるBGMと挿入歌…敢えて古くダサく作っているのに新鮮味溢れる見世物精神満点の「ダサカッコいい」タランティーノ映画である。



このカメラワークも、開発された当初は革新的且つナウでヤングな先端ちょべりぐ表現だったのかもしれないが、今や特撮作品にすら使われてないようなものばかりで、登場人物の表情にいきなりアップしたりするシーンなんかには毎回笑ってしまうが、しかしアホ過ぎないバランスでもある。

西部劇に疎いのでよく分からないが、黒人がヒーローになるお話って珍しいのではないか?
南北戦争前のアメリカ奴隷制度ならではのストーリーテリングだし、差別表現の嵐だし、劇中での黒人の扱いは当然最悪なのだが、その胸糞悪さは全て作品の中でド派手に清算仕切っているので後味の悪さは全くない。イケ好かない奴はみんなぶっ倒してるので晴れ晴れする。
とにかく最初から最後までエンターテイメントを追求した作りとなっているのだ。


インチキ歯医者さんが相手を騙すセリフはどれも知的でキザっぽく、銃撃シーンは最初から最後までスカッとするようなカッコいい早撃ちばかり。おまけにダイナマイトで色んなものが吹っ飛んだりするんだから、コレがつまらないワケがない。


昔ながらの技法、昔ながらの作品構成を踏襲しながらも、現代なりのアレンジと解釈を用いていており非常に新鮮な楽しさがあった。
特に袋の穴のくだりは爆笑してしまった。突然なんだあのシュールさはw



全体が160分を超えているため正直ちょっと長過ぎる印象は拭えないが、見せ方がいいからか観るのを辞めるほどではなかったし、ラストシーンには思わず拍手を送りたくなった。
長いのさえ気にならなければ気持ち良く観終われる、最新の極上西部劇エンターテイメントである。
ロッツォ國友

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