みらい

返校 言葉が消えた日のみらいのレビュー・感想・評価

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)
3.9
こわせつない映画。

台湾が自由な思想を許さなかった時代。
抑圧された学園生活の中で密かに禁書を手にする少年と優等生の少女が悪夢に巻き込まれていく。

夜の校舎という恐ろしい世界。
人の気配がない校舎で目にする顔のないもう1人の自分や、返事をくれない教師、女の子の声。
おどろおどろしい空気に否応なく引き込まれていく。
校舎を探索するうちに現れる怪物や怪奇現象。本物か偽物か分からない級友たち。
そして、紐解かれるヒロインの秘密。

不気味に始まるホラーストーリーだけれど、実際に伝えたいのは当時の台湾が抱えた愚かな条例。それに苦しめられる若者たちの嘆き。
時代に裁かれる命とそれに抗う少年少女の悲劇だった。

ほろ苦いラブストーリーもこの作品の大きなパーツとなり、その恋が切なくも来世に2人の幸せを願いたくなる最後だった。
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