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返校 言葉が消えた日のmisoniのレビュー・感想・評価

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)
3.7
映画を見てもこの物語の舞台である台湾の歴史的背景をほとんど知らなかった為に今いちピンと来なかったので白色テロ、台湾の戒厳令の時代についてざっと調べた。
なんと40年近く戒厳令が続いていたなんて異常過ぎる。
どこにいても監視、密告の恐怖の中で暮らさねばならずある種の緊張感がいつでもどこでも人々の間を支配していた時代だったのか。
ゲームがベースとなったホラーだが、その姿をうまく借りて戒厳令時代の人々の弾圧による苦しみを「忘れない」で欲しいという願いの映画だったと思う。
ゲームより、ホラーよりも事実の方がずっと恐ろしいという恐怖。
記憶や事実が刻まれている「本」いちいち検閲し記憶せず何も考えないことを望む政府。密告者に対して事実に耳を塞ぎ何も考えず忘れるように言い糾弾する化け物は、巨大だが顔が空洞で表情すら無い。
それはただただ市民に恐怖を与え、一体何の為に何の意義があって存在しているのか分からない空虚な政府を表していると思った。
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