すみ

プリズン・サークルのすみのレビュー・感想・評価

プリズン・サークル(2019年製作の映画)
4.2
島根県にある官民共同の新しい刑務所に密着したドキュメンタリー。
四人の受刑者に焦点を当てる作りで、彼らの心の変遷を丁寧に追っていくことができる。
罪を犯す、それはどこから始まっていて、犯してしまった罪の償いはいったいいつ終わるのだろう。
その境目はひどく曖昧なもので、自分や、自分の大切な人が何らかのはずみで罪人になる可能性は十分にあって、そう考えると映像の中にいた彼らは決して「別世界の人」ではない。

実際に本刑務の取り組みを受けた受刑者の再犯率は半分以下とのことで、対話を用いて根本的な部分を深く理解していくことの重要性が感じられた。TCのような取り組みが全ての刑務所に広がることを願ってしまう。
生まれ育つ環境は誰も選べない。自分を救うことで連鎖を止めることが、いまできる精一杯のことなのだろうか。

犯した罪そのものは決して消えるものではないし、犯罪者に対しての差別や偏見は絶対になくならない。それは受け入れなければならないものだと思うと同時に、わたし自身、「犯罪者」というレッテルだけで人を判断し傷つけることだけはしたくないと強く思った。
加害と被害は表裏一体であり、決して切り離して考えてはならない。
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