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永遠の散歩のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

永遠の散歩(2019年製作の映画)
3.8
とても好みだった。アビチャッポンを思わせる、仏教国ラオスの呪術と輪廻の世界。森に住む成仏していない霊と交信できる初老の男が過去と未来を往き来する。輪廻転生をカタカナで表すと、SF×ホラー×タイムスリップ×パラレルワールド×タイムループになるのか。


説明が少ないのと、時代が変わっても風景も家も変わらず、混乱した。死者の霊と交信する男がどの時代にいるのかよくわからなくなった。なぜタイムスリップするのか、何をしているのかがわかるまで、ミステリーであり、クライムでもあり、ラストまで謎解きが続いた。それがわかった時に、その気持ちはとてもよくわかった。死を受け入れられない気持ち、成仏させたくない気持ち、死者と共にいたい気持ち。


タイトルの意味がわかると切なくなる。


女性の同性愛も描かれる、ラオスの女性監督の作品。


ラオス舞台の輪廻転生の作品は「サムサラ」に次いで2作目。信仰ではない仏教が慣習として根づいているから、用語や意味はわかったけれど、西欧では理解が難しいだろうな。われわれがキリスト教を知識ではなく、肌感覚で世界観を理解しにくいように。
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