あき

水曜日が消えたのあきのレビュー・感想・評価

水曜日が消えた(2020年製作の映画)
3.7
火曜日しか生きられない「僕」。1日が48時間だったら…とか思うことも多々ある私の日常だけれど、この火曜日くんに至っては、1年は52日。日曜日でもなく、金曜日でもなく、火曜日。図書館はいつ行っても休み。なるほど、火曜日の視点で日常を見ていると、生活がいかに曜日と密接に関わっているのかが見えてくる。

つい先日、星野源さんのラジオを聞いていた時にすごく印象に残った言葉がある。社会的なハッピーエンドとは程遠い松尾スズキさんの舞台を見た時に「お前らに、俺の幸福が分かってたまるか!」「俺は幸せだ今!」って登場人物から言われてる気がした、と。

交通事故をきっかけに、毎日人格が変わってしまう「僕たち」。医者からすればそれは治すべき症状であり、社会的には「気の毒」と言われるのかもしれない。火曜日にも不満はあるし、渇望もある。でも、火曜日から感じた「僕たち」の日常への想いには、幸せの片鱗が見えた。そして、先生のひとことに、思わず泣いた。

カメレオン俳優中村倫也の演じ分けが流石。もっと他の曜日の演技も見たかった思いもあるけれど、余白の多いこのストーリーはこのストーリーで好きだったな。休日課長は公式サイトのコメントに「私が出演するシーンの中にはセンセーショナルなものもあり「よし、やろう。やるからには、私の全力でもって、思い切ってやりきろう。」と決意し出演致しました。」とあったけれど、なるほどそういうことだったのか。確かにびっくりしたよ。

あと、エンドロールのこういう遊び心、大好き。
あき

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