小林

リチャード・ジュエルの小林のレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
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「うだつの上がらない中年男性が大事件を解決して一躍英雄となる物語」にしてもいいところを、「本来英雄のはずなのに人間の一面のみが切り取られてテロリストの犯人へと仕立て上げられていく物語」にするのがイーストウッドのすごいところ。思えば『ミリオンダラー・ベイビー』もロッキー的なストーリーでなく尊厳死を取り扱っていた。演出は初歩的で、とりわけ爆破事件のシーンの怪しい人物を立て続けに出して緊張感を高めていく手法なんかありがちである。でもおもしろい。少々長尺な気がするけども。色々気になる箇所があるけれど、最も残念なのは、主人公の性格描写がきめ細やかなのに一方で、女性記者が女の武器を使ってネタを掴むといういわゆるステレオタイプ的な描き方ね。
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