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リチャード・ジュエルのichicoのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
3.7
サム・ロックウェルが始まりから終わりまで最高過ぎて、頭の中がサム・ロックウェルでいっぱいでしたが、作品はとてもイーストウッド監督らしい作品でした。
色々なサム・ロックウェルが観れて、最高にサム・ロックウェル祭り!!!W眼鏡最高です。

アトランタ五輪で実際にあった爆弾テロ事件の話だが、第一発見者のリチャード・ジュエルが英雄から一転容疑者として疑われてしまう。まさに運命の悪戯なんて可愛い言葉で言い表せないほど、リチャード・ジュエルが犯人であってもおかしくない状況に。プロファイルも確かにそうだなって思ってしまうし、似たような事件が起こっていたらそりゃあリチャード・ジュエルを疑ってしまう。追い詰めるジョン・ハムも素敵でした。
人々を救った英雄としての代償がこれとはあまりに残酷である。

作品自体は静かであり淡々としているが、予備動作無く話が一気に加速し、気づけば自分も群衆のひとりになっている。盛り上がりが欠けるが終始緊張感には包まれ、リチャードの人物像はぶれずに真っ直ぐと、そしてそれを支えるワトソンや母親がリチャードを信じて疑わず一緒に戦う姿が素晴らしい。こういった人間の描き方が上手いよね。出てくる言葉の数々が自然なのにとても良いんだよ。終わりのリチャードの言葉は重みがあり、これこそ真実の叫びであった。
サム・ロックウェルとポール・ウォルター・ハウザーのバディも良かった〜!!キャシー・ベイツは言わずもがなだよ!!会見のシーンは涙が出るかと!!

もし自分があの場にいたら、あのニュースを見ていたらそう考えると何が真実で、何が間違いなのかわからないまま、連日報道されるニュースを鵜呑みにしてしまうだろう。今の世の中に通じる作品であり、広い視野を持ち、物事を見通す力を身につけなければ、いいように利用され踊らされてしまう。

女性記者の描かれ方について色々言われているのが非常に残念。女性記者の件についてこちらも何が真実なのかわからないが、冤罪事件の被害者について描くのであればそこはきちっと整理をし、ありのままを描くべきではないかなと。
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