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リチャード・ジュエルのyukacafeのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
4.0
やっぱり私はクリント・イーストウッド監督作が好きだ。最早生きる伝説とも言える彼の監督作をリアルタイムで劇場で観られる喜びを感じずにはいられない。

昨今の監督作は実話を題材にしているが、ここ数年の中で最も熱量を感じた作品だった。アトランタオリンピックの裏で、こんな事件があったことを全く知らなかった。

過去の名作同様、無駄なシーンや過剰な演出がなく、事実をそのまま描いているように見えて、映画的文脈を知り尽くした手腕で、英雄から被疑者へと一気に状況が変わり、無実の罪に問われる恐ろしさが描かれる。

リチャードとワトソンが出会っていなかったら、リチャードが一歩踏み出せていなかったら、冤罪として裁かれることになってしまっただろうと思うと恐ろしい。真実をわからずに意見を述べること、根拠もなく疑うことがどれだけ危険なことか、考えさせられた。

サム・ロックウェルはスリー・ビルボード、キャシー・ベイツはフライド・グリーン・トマトとそれぞれ大好きな出演作があり、2人が共演しているだけで嬉しい。母親としての胸中を述べる演説のシーンは、涙なしでは観られない。
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