ナイトー

リチャード・ジュエルのナイトーのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
4.0
2020.01大泉学園
「ホームラン級の話題作を飛ばすことは少ないが、毎年芸術的な名作を量産し続けている」という点で、監督としてのイーストウッド御大を勝手に「映画界のイチロー」と呼ばせてもらっているのだが、今回もまた爽快なタイムリーヒットを放ったという印象。
本物のイチローは残念ながら寄る年波には勝てずに引退してしまったが、イーストウッド御大は老いてなお盛んというか、完全に「映画の作り方」をマスターしてしまったかのような感がある。
この映画も、内容を冷静に思い返せば、映画の題材にはありがちな、少々地味な作品なのだが、観賞後の感想は、圧倒的な「映画を観た」という満足感。
「映画を快適に楽しむ」ために、無駄な演出や演技は徹底して削ぎ取られ、小難しいことをあれこれ考えさせられることもなくスクリーンに映し出された映像を見つめることだけを要求される。
「衝撃の映像体験」や「ラスト◯分、あなたは騙される」みたいなのが欲しい人には確かに物足りない作品ではあろう。ただ、イーストウッドの作品には「映画」が本当に必要なものが、一分の隙もなく詰め込まれている。
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