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リチャード・ジュエルのoshioのネタバレレビュー・内容・結末

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

記録用(2020.01.25鑑賞)


さすがのイーストウッド監督!
と同時に世の中のメディアに疑問を投げかける問題作だな、とも。

主人公は警官/法執行官を目指す正義感の強い青年リチャード。その正義感がたまに行きすぎる所もあって過去に問題を起こしたことも。96年7月、アトランタ五輪の会場近くの公園で音響の警備をしていたところ、公園内で爆弾を発見する所から始まる。

いやしかし、マスコミって怖いなとつくづく思わされる。まあそれはマスコミを含むメディアだけでなく、メディアの根拠もない杜撰だったり偏っていたりする報道を鵜呑みにする世の中も、またそういった報道をするメディアも、民衆を騙そうとかかる警察もなのだけれども。
この事件がSNSの発達した今の時代に起きたものだったらもっと怖かったというコメントも見かけたが、本当にそうだと思わされる。
きっとこれ以上に民衆やメディアに踊らされて手遅れの事態になっていたかもしれない。

世の中のもの全てを鵜呑みにするのは良くない、まず何事も疑ってかかれ!と言いたいわけではないけれど、報道された一部の情報だけを信じるのではなく、真実を、事実を知る事はすごく大切だと思わせてくれる。


キャストも見事でした。
リチャードを演ずるポールウォルターハウザーの演技がこう、うまい具合にもどかしい!笑
視聴者もワトソンもああそれ騙されてるって!!!喋るなって言われたじゃん!!!ってなる事が作中にかなりある。鑑賞中はリチャードがちょっと抜けてるだけじゃんと思っていたけど見終わった今あらためて考えると、あれは彼の実直さや貫き通す信念の強さ、また彼自身の優しさからなんだなとも感じる。

そして最後、リチャードがFBIにズバッと言うシーン!犯人だと断定できる証拠もないままリチャードを犯人にして物事を進めていくFBIにガツンと言うリチャードとワトソン。ここがやっぱりめちゃくちゃ良いですね!
今までのいろいろな事があったからこそグッとくるシーン。

あとワトソン役のサム・ロックウェルが最高すぎる。株がどんどん上がる。ムダに喋ってしまって警察を有利にしていくリチャードをしっかり助けて怒って時にはクスッと笑わせてくれる。リチャードにワトソンがいてくれて良かった…
リチャードとワトソンの間に築かれていく信頼関係や2人の成長も見もの。


エンドロール。リチャードが44歳で亡くなってしまった、というのがショックでした。心臓を抑える描写があったから何かしらあるのかな〜とは思ったけれど…
ワトソンがナディアと結婚したのも、お母さんが子どもの面倒を見続けているのも良かった。そうかこの事件は96年の事件だったんだ、物語の登場人物は今も生きてる。
ずいぶん昔のように考えていたけど比較的最近の事件だったんだなとふと気付かされる。
しかし96年か…23年経ってるのに、なんか色々と進化してないな。


こういった報道を受け、憶測で非難をしメディアに扇動されている国民が自分自身である可能性がなきにしもあらず。
自省というわけではないけれど、何事にも偏らずフェアに、物事の本質を理解しようとする姿勢でいろいろなものに関わっていきたいと思えた。




・今回好きなセリフ
ワトソン「俺を叩き潰すがいい!」
リチャード「あんただけが僕をバカにしなかった」
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