イーストウッド監督。
今回も社会にはびこる問題に対し、
本質を抉り出している。
毎回なぜもこう名作ばかり生み出せるのか。
名作量産オジサマ。
もう永遠に生きててほしいと願うレベル。
今回イーストウッドが取り上げたのは、
冤罪と情報操作。
この事件を通して分かるのが、
「求めているのは真実ではなく、
自身にとって都合の良い対象」
この一言に尽きる。
FBIはオリンピック中止にされると困る。
早急に犯人捕まえたい。
そこで真実の追求に奮起するのではなく、
ジュエルを犯人に仕立てることに躍起になっている。
メディアは我先にスクープを取り上げ、
英雄が犯人!という世論が面白がるドラマチックな事件にしたい。
「英雄」「優しき正義漢」から
途端に「典型的な犯人像」「異常者」へと報道が変わるのだから、
本当に情報操作とは恐ろしいものだ。
真犯人が見つかっても、リチャードが疑われた時よりも大々的に取り上げなかったそうだ。
このような事が今もなお起こっている事を知っておかねばならない。
我々はこの事件の真相と、
リチャードジュエルという英雄。
そしてそれを支えた仲間たちとの闘いを、
決して忘れてはならない。
イーストウッドが描く英雄は、
蜘蛛の糸も出ない。
鉄のスーツも着ていない。
いつだって「普通の人」だ。
だからこそ思えるのだ。
我々も英雄になれると。
人は誰だって英雄になれる。
彼らにあるのは助けたいという心と、
一歩を踏み出す勇気だけなのだから。