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雨月物語のーのレビュー・感想・評価

雨月物語(1953年製作の映画)
4.2
視線の誘導

映画冒頭、2カット目の長回しショット。

『源十郎と妻の宮木が会話をしている様子を映す。2人の会話がしばらく続いたあと、藤兵衛の声が入る。その直後、画面中央奥の家から藤兵衛が飛び出してくる。その声を聞いた源十郎と宮木は藤兵衛の方を振り向く。』

この一連の流れを、カットを割らずにわざわざ遠くの方から現れる藤兵衛を撮ることで、それまで源十郎らを見ていた鑑賞者の視線が藤兵衛の方に引き付けられる。
つまり、画面を観ている我々も源十郎と同じように藤兵衛の方へ振り向いてしまっているのだ。

自然に映画へ誘い込む上手い仕掛け。
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