雨月物語の作品情報・感想・評価

「雨月物語」に投稿された感想・評価

pta

ptaの感想・評価

4.3
溝口健二が西鶴一代女に続きヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。世界的名声を決定的にした代表作の一本。
chikichiki

chikichikiの感想・評価

4.4
恥ずかしながら、溝口作品初鑑賞。

"物欲・愛欲・出世欲"

妻との今生の別れを暗に示唆する様な長回しや介錯シーンの岩陰から回り込むカメラワーク、霧が立ち込める水上での幻想的なショット等がとっても素晴らしく、シビれました!!

CGなんてないこの時代。それ故に、裏で行われているであろう壮絶な人海戦術を想像してしまったため、その感動もひとしお。

物語としては愚かな男とそれに翻弄される女の悲哀。

江戸時代後期の上田秋成による読本『雨月物語』が基となっているいるので、言ってしまえば説教くさい内容。

しかし、それと同時に人の抱える業という、普遍的な人間の本質を的確に描き出しているからこそ、本作は色褪せない魅力を持った作品なのだと思います。

また、そこに加わる怪奇的なエッセンスの演出が抜群に機能し、エンターテイメント性も損なわれていないので、現代でも十分楽しめる要素が盛り沢山だと思います!!
貧困に喘いでいる妻子を養うため、出稼ぎ労働に勤しんでいる夫(森雅之)が、不思議な妖力をもつ貴女(京マチ子)に引き寄せられてしまう。上田秋成の同名小説を大幅にアレンジしている、ヒューマン・ドラマ。

琵琶湖周辺の国盗り合戦を背景にして、虚構に束縛される夫と現実に翻弄される妻のすれ違いドラマを綴っている作品。京マチ子と田中絹代が虚構と現実の女を演じており、両次元の愛憎劇を交錯させてくる。

貧困からの脱却を目指そうとする精神が、ある種のトランス状態を生み出してしまう恐怖。ある程度の金を儲けると、下半身主導型に変貌してしまう男の性(さが)。そして、虚構世界に快楽を求めていく逃避行動。人間の欲動と因果を真正面から描いている。

何よりも、時空の歪にスッポリと入り込んだような感覚が、たまらなく面白い。面妖な雰囲気と陰性の幸福感に支配されている、トリップ映画の金字塔。
モノクロなのに美しい映像。CGも使っていないのに、幻想的な映画。
ため息が出ました。
2019.5.4
自宅TVにて鑑賞

溝口健二初鑑賞。
男のくだらなさと、翻弄される女の悲哀を描く。

戦に乗じて焼物で危険な商いをする貧農、源十郎(森雅之)。次第に源十郎は金に目が眩み、子供の源市と家族団欒を求める妻の宮木(田中絹代)と距離ができる。同じく貧農で義弟の藤兵衛は侍になりたく装備のための金を求めるが、妻の阿浜(水戸光子)はそれに呆れている。
落ち武者がうろつく混沌のなか、4人は焼き物を売りに出かける。宮木は途中で引き返すもその道中に落ち武者に殺される。阿浜は藤兵衛を探す途中で落ち武者に強姦され遊女になる。源十郎と藤兵衛は無事焼き物を売りさばくも、源十郎は高貴な女性、若狭(京マチ子)に出会い、不思議な様相の朽木邸にて求婚され居着く事となる。やがて老僧に幻術を解かれ、源十郎は死霊に誘惑されていたのだと知り家に帰る。藤兵衛は稼いだ金で侍になり、大将首を捕らえ鎧と馬と家来を受け取るが、凱旋の途中の宿で遊女となった阿浜に出会い自分も間違いを悟る。源十郎は家に帰り宮木との慎ましい暮らしを送るが、翌日それは幻覚で宮木は死んでいたことを知る。

女性の吟唱を音楽として船が湖を渡っていくシーン。霧のなかを進み霧に消えていく。とても美しい。

源十郎が老僧によって体に施された呪文。なんともおどろおどろしい。新しいイメージ。

源十郎が家に帰ってきて、宮木を探し家の中を歩きまわる源十郎に付けPANして左に映し、1周して戻ってくるのに合わせて右にPANすると今度は宮木が夕餉の準備をしているカット。素晴らしいシームレスな長回し。

個人的にはあまり刺さるところのない映画でした。
貧困、暴力から金と名誉に憧れる超現実的な話から水辺の美しい幻想的な映像が素晴らしい
モノクロだけど、やっぱり水が映るシーンは綺麗

夢から目覚めたあとも夢の世界で
そこから現実の世界に戻されたとき
それでも生活をスタートする主人公の背中に希望を感じた

落ち武者がフラフラしながら近づいてきて背中を槍で突いてくるシーンがめっちゃ怖い
陶芸家のオヤジが死神に惚れられる話

死神京マチ子の顔が怖い

オチも怖い
kai

kaiの感想・評価

4.0
1953年 ヴェネツィア国際映画祭 銀獅子賞受賞作品。

羽柴秀吉が台頭していく戦乱の時代、妻を持つ二人の農民がそれぞれの夢を追いかけようとするが…。
白黒の映像や雅楽が美しく、時に幻想的だった。二組の夫婦の生き様が悲しかった。
若狭(京マチ子)の姿形・所作が官能的で、男が初めて若狭の家を訪ねた日の場面に引き込まれた。男の妻・宮木(田中絹代)は若狭とは対象的で、夫を支え与える存在として描かれていて、田中絹代が好演していた。
夢を見た男たちとその妻たちの結末はいかなるものか。同時代、同じ場所である時期を生きたニ組の夫婦の対比が良かった。

「雨月物語」からの2篇、「浅茅が宿」と「蛇性の婬」が原作となっているとのこと。
Kuuta

Kuutaの感想・評価

4.3
白黒映像ならではの強烈なライティング。明暗のコントラストと張り詰めた緊張感の続く長回しが、生と死が入り乱れる戦乱の世の、現実と非現実の境界を曖昧にしていく。名シーンの乱れ打ち状態。源十郎(森雅之)が若狭(京マチ子)の屋敷に初めて行った時の、等間隔で蝋燭が灯る不気味さが特に好きだった。

霧に包まれた琵琶湖を渡り、黄泉の国に近づいてしまった2つの家族が数奇な運命をたどる。

出世欲や性欲に狂う男と、人生をめちゃくちゃにされる女性。戦の果てに国や妻を失うのは戦後間もない日本の時代感を反映しているようにも見える。阿浜(水戸光子)が落ち武者に襲われる場所が廃寺なのが倫理を失った時代を象徴している。「家」に取り憑く若狭が悪霊のようだったのとは対照的に、ラストの宮木(田中絹代)は家を守り続ける存在として肯定的に描かれる。彼女らは本質的には同じだが、生まれた境遇でここまで違う結果になる(若狭が源十郎の背中を触るように、源十郎は宮木のいた場所をさする)

カメラがパンすると直前までいなかった宮木が現れる有名なラストや、逆光で真っ黒なままの宮木が現れる呉服屋のシーン等、巧みな撮影で生と死の境が曖昧な人間を描き出す。逃げようとする源十郎にしつこく回り込む右近(毛利菊江)が怖い。

あらゆる人生を狂わせる戦争。どさくさに紛れて稼ごうとしても上手くいかないし、結局身を滅ぼす。因果応報なストーリーではあるが、映画のラスト、刀を捨て畑を耕す藤兵衛(小沢栄)は源十郎に食べ物を分け与え、その食べ物は宮木の墓に供えられる。ラストのカメラワークだけで、希望の連鎖する人の営みを肯定してみせる(ローグワンのラストのような)。85点。
りょー

りょーの感想・評価

4.0
美くしい日本の怪談。愛は恐ろしさもあり、美しさもある。ずっとゆったりとした感じだけど、幽霊のシーンのあの緊張感を出せるのがすごい。京マチ子の仕草の一つ一つが妖艶でとても素晴らしかった。今の女優にできるかどうか。
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