このレビューはネタバレを含みます
2022.133 *220
大島渚『御法度』で沖田総司が引用することで知られる、上田秋成の『雨月物語』。
本作がヴェネチア映画祭で受賞したのは多分にオリエンタリズムの影響があったろうが、現代の欧米の観客にはどう評価されるのだろう、と素直に気になる。
ただ、2組の夫婦の対比、男と女の対比、女同士の対比…など、さまざまな対比を通して主題が明確に打ち出されている。
それだけかと思えば、終盤で刀を振り回して死霊から逃げる男の場面にはちゃんとした迫力があった。
女たちの、男を見放して自分の為に生きることができないという、生まれ持ってしまった残酷なまでの優しさに少し胸が締めつけられた。
脚本 川口松太郎、依田義賢
作詞 吉井勇
撮影 宮川一夫
音楽監督 早坂文雄
音楽補佐 斉藤一郎
擬闘 宮内昌平
助監督 田中徳三