10代の少女オクジュの視点から、ある家族のひと夏を描いた作品。
カメラは演者から距離を置き、1カットの中でほとんど動かないし、基本的に一軒の家を舞台に物語が進むため、鑑賞者がこの家族の日常をちらっと覗き見しているかのよう。しかし所々に表情をじっくりと切り取る場面があり、人物描写が効果的だった。
オクジュを演じたチェ･ジョンウンは本作が長編デビューとなるらしいが、オクジュくらいの年齢の少女(特に弟や妹を持つ少女)が抱える苦悩、嫉妬、欲望など、思春期に揺れるティーンエイジャーの繊細な感情の動きを見事に表現している。特に最後の演技には心を打たれた。
どこか懐かしい日常に心を震わせる、新星ユン・ダンビ監督の長編デビュー作を、映画館で観れたことを誇りに思う。
