葵蘭シネマ

夏時間の葵蘭シネマのレビュー・感想・評価

夏時間(2019年製作の映画)
4.0
思春期の多感な時期に両親の離婚で母親を失い、近しい存在の叔母もまた夫婦関係の終わりを迎えようとしている。
高齢の祖父は、妻に先立たれ寂しい一人暮らし。そして、その祖父の死。

家族としての幸せの形が少しずつ崩れていくのだけど、最後に流した少女の涙は、やはり母親に対する郷愁が大きいのだろうと感じた。

劇中何度か流れる「未練」という歌謡曲の歌詞が、登場人物の心情と上手くリンクしているように感じられて、それを笑みを浮かべながら噛み締める祖父と、階段でひっそりと物憂げに聴き入る少女という場面は、この作品のハイライトだったと思う。