こう

ジェントルメンのこうのネタバレレビュー・内容・結末

ジェントルメン(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【個人記録用】
 
  _人人人人人人人人人人人_
  > Guy Ritchie is back!! <
    ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

ガイ・リッチー。スナッチで心を奪われ、ロックンローラ、リボルバー、ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズを夢中でディグった大好きな監督。
シャーロック・ホームズからは作風も映像の感じもガラッと変わったけれど、魅力的な作品を放ち続けている。今回のジェントルメンはみんなが大好きで、そして待ちわびたであろう初期のガイ・リッチーが帰ってきた!そんな作風である。
個人的にはシャーロック・ホームズ以降の作品も好きで、キング・アーサーに使われている、まるでゲームのイベントムービーのようなVFXを使った映像で魅せる作品も好きだけれど、初めて見たときに一撃でハートを射抜かれたスナッチのような物語で魅せる群像劇にはおかえりと言わざるを得ない。

ど頭に重要人物であるマイク(マシュー・マコノヒー)が襲われるシーンから始まり、劇中のカットをマリファナの煙で形作るオープニングには期待とワクワク感でガッチリ心を引き込まれる。その後から始まる、マイクの右腕をスキャンダルで揺するフレッチャー(ヒュー・グラント)の回想を軸に物語が広がっていく展開もガイ・リッチーらしさが全開に出ていて良い。
多方面から進んでいくストーリー、フレッチャーとレイモンド(チャーリー・ハナム)のコミカルなやり取りが、パズルのピースを少しずつ揃えていくような感覚で気持ちいい。
正直、この構図に新しさは無いし、どんでん返しがあるのは分かりきっているけれど、これはああなんじゃないか?こっちはこうなんじゃないか?なんてあれこれ考えながら見る楽しさは不変的だし、映画を見終わったあとには何ものにも代えがたいカタルシスがある。
特に冒頭の「ライオンは疑われてはならない」の語りが最後のシーンでは「そう女王に教えられた」と付け加えられてエンドロールを迎えるシーンにはなるほどねと思わずニヤけてしまう。マイクがロザリンド(ミシェル・ドッカリー)を溺愛する理由はここに集約されてると思うし、昨今の女性の地位向上の流れや、エリザベス女王などのダブルミーニングも感じ取れて面白い。

スマホ文化、YouTubeを絡めた仕掛けも上手に使われてるし、アメリカを始めとする大麻合法化の流れという大きなテーマも今の時代を色濃く反映させてると思う。
合法化の流れには色々な理由があるけれど、その一つにヘロインやコカインといった身体に強い影響を持つ薬物の蔓延を抑えるために合法化が進められてるというものがある。劇中でマイクが中国マフィアのボスにコカインは身体を壊すがマリファナはそうじゃない所が良いと言ったのはそういった社会的なメッセージも含まれてるのかな。

映画全体のヴィジュアルとしては、イギリスの町並みやパブのインテリアがオシャレでクールだし、ファッションでもマイクとレイモンドのスーツを始めとする各キャラクターの衣装が最高に決まってる。ボクシングジムのギャングたちもカルテルのスーツとは対照的で、カジュアルだがイギリスらしいチェックのジャージのセットアップが華やかで格好良い。バイオレンスな題材の映画なのに重くならずにテンポよくポップに、そしてお洒落な印象を持てるのは、音楽と併せてこういう要素も大きな要因の1つだと思う。

ガイ・リッチーの映画は何よりキャスティンが本当に最高。マシュー・マコノヒーの知性と暴力で成り上がってきたバックボーンを感じさせる雰囲気は間違いないし、ヒュー・グラントは薄汚くて狡猾でやり手なパパラッチ感がよく出てる。個人的に大好きなチャーリー・ハナムはスマートな雰囲気なのに立派なヒゲとバキバキの筋肉というルックスが最高で、落ち着いた雰囲気の陰にチラつく怒らせたらヤバイ奴感がバッチリハマっている。コリン・ファレルの下っ端だけど存在感がある感じも良い。

全体を通して「お前ら、これが見たかったんだろ?」と言わんばかりのガイ・リッチーらしさが全開だけれど、綺麗な色合いの映像などに新しさも感じられてすごく面白かった。
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