木村優希

花椒の味の木村優希のレビュー・感想・評価

花椒の味(2019年製作の映画)
4.0
一番はお店の装いでした。

父親と、異母姉妹3人の話。
家族を赦すって難しいよなあ。血がつながってるから何やってもいいってわけではないと思ってるし、場合によっては縁を切ったり一生赦さないというのも私はありだと思っているので、この家族の距離感は自然で心地よかったです。

父親が、結構どうしようもない感じだったんですが、この異母姉妹の、主に長姉の記憶からどのような父親だったかを知ることができます。

父親が経営していた火鍋店を、父親が急逝したため急遽継ぐことになったお姉ちゃん。
母親の違う2番目の妹は再婚した先の家族となんとなく馴染めず、子どもの頃から続けているビリヤードの選手として生活。
3番目の妹の母親はカナダで生活。大学の卒業式にも来てくれず、今は祖母と重慶で二人暮らし。祖母は自分が死んだ後を心配して、しつこく結婚をするように勧めてくる。

皆孤独で、孤独が集まってちょっと歪な家族の出来上がり。
父親が娘たちのことをどう思っていたのかは今では分からないけれど、父親の残した火鍋屋や、私物に記憶が残っていて、娘たちの独り立ちをちょっとずつ後押ししてくれます。
ラストが意外だったけど、この終わり方は好きでした。なんだか新しい。

お店の、ちょっとレトロで寂びれた雰囲気が、味があって素敵でした。
3姉妹は全然似てないのにすぐ仲良くなれる、そんなキャラクターもとても良かったです。
木村優希

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