「・・・YOU・・・」
冒頭、反体制派のリーダー、大学、博士号、高校教師、授業料、大学生の恋人、友人、教育実習、試験勉強、仕事、郊外生活、キャンパス内でのデモ、プロポーズ、警官隊、催涙弾、学長。今、破天荒な男を軸に自由を求めた学生たちの時代を映し出す…本作はリチャード・ラッシュがケン・コルブの原作を監督し、ロバート・カウフマンが脚色した本作が遂にシネマライブラリーからDVD化され初鑑賞したが傑作だった。学園紛争と自由奔放な“愛”がテーマの映画で、一昔前に同じくシネマライブラリーから発売された「いちご白書」を見ているかのようだ。
さて、物語は教育学部4年のハリーは、かつては学内急進派のリーダー格をこなしながら、今は高校教師を目指している。彼にはジャンという恋人がいるが、彼女は学生運動に夢中になっている。運動に関わる代償に一度、大学を去ったこともあるハリーと意見の食い違いを見せることある。
本作は冒頭からキャンパス内の騒音な風景をRonald Stein And His OrchestraのGetting Straight (Main Title)の音楽が流れ、様々なキャンパス内の学生たちを捉える。そして1人のメガネをかけた髭面の男が写し出される。彼の名はハリー。元反体制派のリーダーだった男だ。彼はキャンパス内をうろちょろ回る。お金が払えないと駄々をこね、女友達に誘われた事柄を断り、とある女性が蛙を触ろうとしている実験室に行ったり、授業に出たり…。彼は残り20分しかない試験を受ける。
続いて、彼は再びキャンパス内を走りまわる。そこでは黒人の運動会の青年に声をかけられる。学園ではハリーの友人の黒人エリスをリーダーに学園改革運動が展開している。ハリーも以前は反体制的な思想を抱いてた1人である。そのために一度学園を去って、6年間のブランクをおき復学したのだったが、現在のやり方には批判的な考えだ。ハリーの悩みはもう1つあった。教育学部長ウィルハント博士に、ハリーの自由主義すぎる考えと行動は教師に不向きだと言われたことである(彼の教育実習は人気があった)。
そして彼はふとトイレの中に入る。そして彼は生徒たちに授業を教える。そこに1人の目立つ女子生徒がいる。彼は彼女と会話をする。続いて彼はポンコツの車に乗って自分のアパートに戻るが、大家が4週間家賃未納と言うことで部屋の鍵を変えてしまい中に入れない。
カットは変わり、ハリーがブロンド女性と日中から夜の営みをしている場面へと変わる。教育学部4年生のハリーは教師になるつもりだった。恋人のジャンは現在の教育制度を真向から否定する反体制派の学生だ。ハリーの近々の問題は金の無いこと、授業料も滞り、家賃も未払い。だが、活動的で明るいジャンは、愛を楽しんでいればそれは気にならなかった。だが、下宿を追い出され、ジャンの所へころがり込むが、愛を金に換算しているとジャンに疑われ喧嘩する。
続いて、ジャンとの仲は、学園紛争の闘争方針をめぐり本気で喧嘩してしまう…紛争は拡大していく。ハリーは卒業試験を友人ニックに頼んだことがバレて、ウィルハント博士から教師の資格は与えられないが、大学院へ行くなら退学処分はしないでやると言われる。失望して下宿にいると、デモに血だらけになったジャンが現れて、他の学生と結婚すると言い出す。
続いて、キャンパス内は州兵まで出動して学生を鎮圧している風景が写し出される。ハリーは大学院への修士試験を受けた。学生たちの断末魔や銃声が耳に入る。教授たちはそれを傍観しながらどうでもいい質問を問いかけている。ハリーは徐々に怒りだす。突然、彼は机に立ち上がり教授を罵倒し、修士試験をぶっ壊した。数分後、暴動の最高潮の中でジャンを見つけたハリーは、お互いにまだ愛し合っていることに気づき……と簡単に説明するとこんな感じで、中々見応えのある作品だった。
いゃ〜、リアルタイムで今米国で黒人が白人の警察に殺されたと言うことで、いつも通りの大義名分無いアンティファやブラック・ライヴズ・マターを含む活動団体が入り込んだ膨大なデモ抗議をやっているのをニュースで見ていたので、非常にタイムリーな映画だった。この作品もキャンパス内での生徒たちのデモを警察官が鎮圧しようとする場面があるのだが、ものすごい迫力だ。この頃はまだ大義名分あったのかもしれないが、今の暴動は全く持ってないだろう。そもそも略奪行為なんてデモとは全くもって関係ないことだし…。
それと、なんか誰かに似てるなーと思ったら若き日のハリソン・フォードが出演していてびっくりした。すごくハンサムだったわ。この映画ラストの学校内での破壊の描写が圧倒的で、やはり冒頭に流れた音楽で締め付けられるのもすごく印象的だった。