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ラーヤと龍の王国のgucciのネタバレレビュー・内容・結末

ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ディズニーが圧倒的なグラフィックで表現するオリエンタルな世界観、忍者やカンフーのようなアジアスタイルのアクションが魅力的。
ゲーム『KENA』のような映画が観られてよかった!
ただ、壮大な世界設計やメッセージ性に対して、物語の構成や登場人物たちの葛藤や活躍がこじんまりとしていて、見せ場のシーンでそのミスマッチを精算せざるを得なくなっているのが残念だった。

「人を信じる心」というメッセージを中心にしているわりにラーヤは疑い騙されを終盤まで繰り返していて、竜が「信じよう」と連呼していることが突飛に感じられた。

「信じれば済むのに、個人的な問題のせいでどうしても疑ってしまう」状況にある主人公の心の雪解けを追うなどならまだしも、実際に騙され続けているのでは「シビアに生き抜いていく中で、数少ない仲間との絆を大事にしていくストーリー」のための状況設定に見えてしまう。仲間は既に獲得しているのに、敵対するその他大勢を信じようという方向にテーマが向かうので、どうにもちぐはぐな感じがする。

あるいは敵の少女の側にも葛藤を用意して「最後は彼女が葛藤に打ち勝つことを信じる」とか、道中も「疑心に満ちたこの世界であえて信じ抜くことで相手の心を動かし、仲間を獲得していく」だとか、テーマをより具体的な要素に凝縮して散りばめていれば、また違った印象になっていたかもしれない。

『ファインディング・ニモ』などは展開を追いながらも常に1つのメッセージ性に向けて力を注ぎ続けていて、だからこそ素晴らしい映画だと思えたのだが
今作は世界観の表現や設定、ストーリーを追いかけることに終始していて「全てはテーマのために」という観点をあまり感じられず、最後まで観ても、特に心に残るものがなかった。

とはいえオリエンタルファンタジーの世界を美麗なグラフィックで表現していることは魅力的なので、資料集のような観点で、この点数となった。
構成次第ではラーヤのことをもっともっと好きになれそうなだけに、惜しい

というか笠とマントと剣のビジュアルがかっこよすぎる
こういうスタイルの高品質なムービーは数が限られているので、個人的には贔屓目に見てしまうところ
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