Chico

ブータン 山の教室のChicoのレビュー・感想・評価

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)
3.8
主人公、ウゲンは首都ティンプーより遥か彼方の僻地、ルナナへ教師として派遣される。オーストラリアに行き、ミュージシャンになるという夢を持ちながらも仕方なく村を訪れる。初めこそ逃げ出したい気持ちだったのが、壮大な景色や文化、人々との交流の中で次第に大切なことに気づいていく。

ルナナには人と動物の共生を物語る神話があり、ヤクや精霊に唄をささげるというアニミズム的な思想が根付いている。土地の生命力を吸い込んだようなイキイキと輝く瞳、高山の冷たく乾燥した空気をうけて赤みを帯び、パリッとつっぱったような肌。人々の面持ちは自然と共に生きることの喜びと厳しさを映し出す。
そして子供達との交流。教える立場の人間が子供達の言葉によって気づきを与えられる。

題材もキャストも素晴らしいんだけど、ストーリーテリングが説明的過ぎるのと演出が少しあざとくてそこが引っかかってしまった。
そして'映画'の存在を知らない、観たこともないルナナの人達が映るこの映画を、遠く離れた日本で鑑賞していることに奇妙な感覚を覚えている。
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