『ミツバチのささやき』のアナ・トレントを彷彿とする、純真無垢なダイヤの原石。きっと誰もが目を奪われる、ヒマラヤ山脈の秘境に暮らす9歳の少女、ペム・ザムとの出会いが本作の成功を約束する。
“世界で一番幸せな国”にもグローバリズムの波は押し寄せる。物質的豊かさへの羨望が、貧しくても幸せだったはずのブータンの人々の生活を変えてしまう。
外の世界を知ってしまってはもう引き返せない自由への欲望と、それでも沁みる伝統文化へのノスタルジーとの狭間にゆれる若者たちの葛藤をみずみずしく描く。
守るべきものと変わっていくべきことへの謙虚な国民性が窺える。
教育こそが“未来に触れる”可能性を広げる。人権という名の普遍の価値が、標高4800メートル、人口わずか56人の“僻地”にも届く。