2MOさんの映画レビュー・感想・評価

2MO

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ハウルの動く城(2004年製作の映画)

4.0

「美しくなかったら生きていたって仕方がない」

その純潔なる心ゆえに戦争と孤独の闇夜を行き来する空想家を、日常の暮らしへと繫ぎ止める無償の愛。あるいはそれは恋とも不可分なるマザーコンプレックス。と、あ
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ラヂオの時間(1997年製作の映画)

3.8

妥協に妥協を重ね、理想とは程遠い現実を繰り返しながら、それでもいつかの小さな奇跡を信じて日々、懸命にもがき生きる人間たちの可笑しみ。馬鹿馬鹿しいほどに愛おしく、そして尊い、全くもって無駄なその営み──>>続きを読む

デス・ウィッシュ(2017年製作の映画)

3.2

途方もない悲しみ、喪失を埋め合わせる怒り。独善的な正義への妄執、行き過ぎたヴィジランティズムへの自己陶酔。それは絶望を救済しうる暴力、復讐という名のカタルシス。

神に見捨てられるならば“死神”にも成
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メイズ・ランナー:最期の迷宮(2018年製作の映画)

2.9

マッドマックス×ワイルドスピード(MEGA MAX)なアバンタイトルをピークに、もはやメイズでもランでもない凡なるアクションが如何にもYA映画といった既視感の中で繰り返されるトリロジー最終章。

少な
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ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

3.7

『ローグ・ワン』に続く監督交代劇に見舞われながらも、しかし作品全体に漂うオプティミスティックな空気感は後任のロン・ハワードがジョージ・ルーカスの盟友であり、他のクリエイター陣のような“父子”の関係に縛>>続きを読む

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

2.8

結局は血筋、つまりは選ばれし者たちの物語に閉じていくなど──『最後のジェダイ』肯定派としては到底受け入れがたい軌道修正の数々。あるいは場当たり的な帳尻合わせに終始するファンムービーへの帰着。
一度は高
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IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

3.9

薄闇にふと、天井の木目調がシミュラクラを浮かべる時、“それ”は突然、姿を現したのだった。

隣で眠る弟を起こさないようおもむろに立ち上がり、まだ明かりのついたリビングへ、両親の元へ急ぐ。まるで平静を保
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名探偵コナン 時計じかけの摩天楼(1997年製作の映画)

4.0

劇場版第1作にして、最も映画然としたシリーズ屈指の名作ではないだろうか。

最初で最後かもしれない映画化への意気込み、「映画」というものへの熱い情熱が全編にみなぎる一大エンターテインメント。そのアクシ
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ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

3.1

スパイク・リー彼自身が、世論を動かすアジテーターとしてのカリスマをすでに纏ってしまっている以上、どんなに立派な映画であっても、まごうことなき正義(Right Thing)がなされていたとしても、むしろ>>続きを読む

ベルリン・シンドローム(2017年製作の映画)

3.6

実話を基にする監禁モノのそのリアルな暴力描写よりも、それが男性社会で縛られる女性たちの痛みのメタファーとなりうることよりもまず、誰もが一度は思い描くであろう理想の恋がその実、悪夢に他ならないという非情>>続きを読む

ラスト・クリスマス(2019年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

君は君だよ。

そのトートロジカルな愛を伝える幾千万ものラブソングがあり、ラブストーリーがあり。僕が僕であるために言葉を紡ぐのも同じ。

「普通」というしがらみに傷つき、がんじがらめになっている君へ。
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黒いオルフェ(1959年製作の映画)

3.9

一夜のカルナヴァルへと導かれるようにして、断続的なサンバのリズムとリオの街に響くあらゆる不協和音が、モダン・ジャズにおけるポリリズムを奏でるかのような熱狂を渦巻く。

果てしないカオスを生み出しながら
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ゆれる人魚(2015年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

この身を滅ぼすほどの恋は初恋。その儚さゆえの美しさのために、少女は声を失い、泡となり消える。

すべてを捧げる純愛の愚かしさ、可笑しさ、悲しみを彩る世界のなんと醜く、血生臭くきみょうきてれつで、グロテ
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静かなる叫び(2009年製作の映画)

3.8

ファーストカットの“急襲”より、銃口を突きつけられたまま続く77分の緊迫感。1シーンの弛緩もなく、やはりヴィルヌーヴのカメラからは一瞬たりとも目を離すことができないのであった。

それは傍観者のまなざ
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レプリカズ(2018年製作の映画)

3.1

愛によってなされたことは、つねに善悪の彼岸にある。

“神”をも殺しうる非倫理的な思想。その傲慢で愚かな、ゆえに本質的に人間的な欲望への称揚。狂気に溺れる人間の所業が、“自然の法則”に反するわけもなか
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特捜部Q カルテ番号64(2018年製作の映画)

4.2

揺らめくネオンに、煙草の煙、階段の昇降、クローズアップと、ほのかに醸すほどの作家性の痕跡。
職人監督仕事とはいえ、私的ベストムービーの一つ『恋に落ちる確率』のクリストファー・ボーとニコライ・リー・コス
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摩天楼はバラ色に(1986年製作の映画)

3.8

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティがそのまま大きくなったような、チビで純情でガッツにあふれる我らが主人公像の再登場。『フットルース』の監督の下、その軽やかなステップにも磨きがかかる。

シン
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キューティ・ブロンド(2001年製作の映画)

3.9

ブロンドの誇りに、ピンクの鎧。キューティでプリティな、ガールズパワーの反骨心。

社会に蔓延る偏見や抑圧をはねのけてみせる揺るぎない信念とは、愛。愛の至上を謳うロマンティック・コメディを様式美に、"L
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.7

人間のグロテスクな本性と、世の不条理の条理をまるで無感情に鳥瞰する神の視点。あるいは悪魔の冷徹な眼差しに平伏す人々の異様な、滑稽な。しかし全く笑えない薄ら寒さが終始、画面を支配し続ける。

「イピゲネ
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がんばれ!ベアーズ(1976年製作の映画)

3.8

勝利至上主義に向けられる疑心のまなざし。大人の醜悪を見透かす子供たちの純真。これぞ映画的な、雄弁なる沈黙のハイライト。その1シーンをもって名作たりえる、ベースボール・ムービー・クラシック。

友達でな
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風が吹くとき(1986年製作の映画)

3.1

無関心ゆえの無知、あるいは無知ゆえの無関心──しかしそれにしたってあまりに残酷な不条理が襲う。その悪夢の光景、地獄絵図を眼前にしては、「無知は罪なり」と断罪する気など起ころうはずもなかったのだ。

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メリー・ポピンズ(1964年製作の映画)

4.3

子供も大人もみんな揃って、口をあんぐり、目を点に、そして歌い、踊り出し、駆け出したくなる、めくるめくワンダー。どんな憂鬱も吹き飛ばすオーバーチュアの高鳴りからして、名曲、明訓あふれるその人生賛歌は、す>>続きを読む

ANIARA アニアーラ(2018年製作の映画)

3.6

この世に偶然というものが存在するのだとしたら。すべての奇跡が偶然に過ぎないのだとしたら、そこに神はなく、つまり意味もなく、ただ繰り返される生から死への営みに悟られる虚無。虚空、厭世を彷徨う──。
何を
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バラキ(1972年製作の映画)

2.0

監督は007シリーズのテレンス・ヤング。同年公開の『ゴッドファーザー』とも重なり合う実録マフィアもの。
ホモソーシャルを煮詰めたような死の遊戯に、血の掟。そのマチズモ。ナイフと銃と共に生き、そして死ぬ
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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

3.5

今からたった40年前、ソウルの春にはじまったデモクラシーの息吹を、“平凡な韓国人”を象徴化する名優ソン・ガンホと共に追体験する。若々しく、荒々しく、未熟さゆえに愚直な民主主義への傾倒、その青き理想主義>>続きを読む

アリータ:バトル・エンジェル(2018年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「人間はサイボーグを愛せるか」という将来的な命題に対し、人間よりも“人間らしい”パフォーマンス・キャプチャーの感情表現によって、一先ずスクリーン内にて実現しうる異形の愛。

まんま『タイタニック』であ
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THE WAVE ザ・ウェイブ(2015年製作の映画)

3.2

夕暮れの平静を引き裂くように、サイレンは響き渡る。それが津波を知らせる緊急避難警報と気づくのに数秒、何かの間違いか、あるいは避難訓練ではないとやっと認めるのに数分、わずか10分のタイムリミットはすでに>>続きを読む

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

3.7

愛の素人はしゃべりすぎる。饒舌がすぎる。そうやって頭で考えているうちは、狂気の一種たる愛の悦びを知り得るわけもない。知り得ないがゆえに逢瀬を重ねる彼ら、彼女ら、言葉多きものたちの“災い”を愛でるように>>続きを読む

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)

3.9

怒りに付け込まれるな──。

前作までにすでに乗り越えたはずの内省的なテーマを語り直し、再び新旧の三部作を強く結びつけるシリーズ最終作。『アポカリプス』の華々しいフィナーレと『ローガン』の有終の美に円
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シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション(2018年製作の映画)

3.6

ファンムービーも突き詰めれば立派にエンターテインメントたりえることの証明。監督、脚本、主演を務めるフィリップ・ラショーのシティーハンター愛がビンビンに伝わる。

フランス流ナンセンスコメディとの親和性
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デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆(2020年製作の映画)

4.1

それぞれが違う世界を生きるもの同士、別々の人生を歩む同志たちにやがて訪れる「離別」のとき。その、どうしようもなく宿命づけられた人生の痛み。耐えられないほどの悲しみ。無限の可能性の先に世界の有限性を知り>>続きを読む

バンブルビー(2018年製作の映画)

3.8

異常な怪作から凡庸な佳作へとの指摘は一理あるも、マイケル・ベイの創り上げるカオスと、メカニカルなグロテスクにどうしても生理的嫌悪感を覚えてしまう身としては、待望のスピンオフシリーズ。
それも舞台は19
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ヒックとドラゴン 聖地への冒険(2019年製作の映画)

3.9

通過儀礼としての喪失と成長の物語を三部作に描き切った見事な着地。傑作シリーズ完結編。

少年が大人になるということは、親となり、子を育てるということは、いつの日か愛の旅立ちを見送るときが訪れるというこ
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クリスマス・カンパニー(2017年製作の映画)

3.5

もしもサンタがいなかったなら、イブの夜におもちゃが届かなかったら、クリスマスなんてなかったとしたら。
夢を見ることもなく、信じることの尊さも知り得ない子どもたちの未来は、さぞかし暗く寒々しい世界の“現
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クーパー家の晩餐会(2015年製作の映画)

3.6

神様を信じてるんじゃなくて、クリスマスの奇跡を信じてる。
誰もが笑顔の一日になりますようにと、誰もが恵まれない人々の幸せを祈る一日でありますようにと。
「メリークリスマス」の魔法の言葉に、人として最も
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.0

刹那に永遠を映し得る映画という芸術ならでは、ストーリーを超越するヒストリーへの視座。その映像詩に刻まれた情念に人類史の痕跡を辿る、あるいは霊的体験。

人ならざる者のまなざしが、宇宙の輪廻に匹敵するた
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