2MOさんの映画レビュー・感想・評価

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散文とロマンティック。
オールタイムベスト100 #EIGASEIKATSU2007-2016 の覚え書き。

映画(611)
ドラマ(50)

悪魔の陽の下に(1987年製作の映画)

4.1

無力な、無意味な人生の実存に迷い、神の道を外れ、絶望の淵をさまよい歩く人間の、沈黙の叫び。
死ぬまで終わることのない試練と孤独の闇に陽の光が差し込むならば、悪魔も救いの神となろう。

内なる悪を知るこ
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さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)

3.2

“考えないということが思考に悪影響を及ぼすかどうかは分からない”
そう、本質は直感によって掴み取ることができるのである。

“メタファー”とは一対一に符合する関係を見出すことではなく、その隠喩表現の革
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RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

4.5

世界の認知を改めさせられる衝撃の映画体験。フランスより、ギャスパー・ノエ以来の鬼才現る。トビー・フーパーやデヴィッド・クローネンバーグからの影響を血肉とする若き女性監督。女性自身でなければ描き得ない、>>続きを読む

アトラクション -制圧-(2017年製作の映画)

3.6

平和への思いを固く誓いながら、一方でアンビバレントに世界が一変するカタストロフを心待ちにしている自分がいやしないか。
隕石雨の一つでも堕ちれば。地球外生命体とのファーストコンタクトや、あるいは宇宙“戦
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Ink(原題)(2009年製作の映画)

3.2

眠りに見る夢は夢ばかりではなく。現実の裏側にもう一つの世界は広がる。そこでは本来あるべき、もう一人の自分も存在する。

そんな中二病的妄想をあたかも形而上学的なサイエンスフィクションであるかのように仕
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タイムシャッフル(2014年製作の映画)

3.7

確定された未来に向かって、たとえそこには自由意志がなかろうと、この現在に実感を得ることを生きるとする他ない、むしろ無限に開かれた可能性など自らの想像力の範疇において放棄したがる人間という種が迷い込むタ>>続きを読む

LOOP/ループ -時に囚われた男-(2016年製作の映画)

3.1

この記憶は何者かによって作られた偽の記憶であるという可能性を、一体誰が否定できようか。記憶の連続性が一個人の主体を維持する根拠であるならば、その記憶が改竄されうる代物であったとき、この世界が大いなる存>>続きを読む

スーサイド・ショップ(2012年製作の映画)

3.2

人生は素晴らしいも、人生は残酷も同じ。バナナの皮に滑って転げる人がオカシイのも痛々しいのも同じであるように。ものは見様によって悲しくも愉快にも、美しくも映るのが人の世である。

灰色の街で、悲観に暮れ
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はじまりへの旅(2016年製作の映画)

4.6

常識を疑え。
権力に抗え。
自分の言葉を持って。
道なき道を行け。

"Power to the people"
"Stick it to the man"

不当で病んだ最低の世の中に、反逆の道を示
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マザー!(2017年製作の映画)

4.3

ノアの方舟を描いた前作に続いて、“楽園”、“黙示録”と口にされれば聖書をモチーフとした箱庭表現であろうことくらい察しはつくが、その定型には愚かな人間への愛憎を軸に、様々なメタファーを入れ替えることも可>>続きを読む

デス・レース(2008年製作の映画)

1.5

すっかり毒抜きされた子供騙しのまやかしで、あの歴史的問題作『デス・レース2000年』のリメイクを謳うのはもはや冒涜の域。
陳腐化され切ったビデオゲーム的想像力の幼稚性は、オリジナルの確信犯的な露悪表現
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ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ(2017年製作の映画)

4.5

「愛は簡単じゃない。だから愛なんだ」
失って、やっと初めて気付けること。障害を乗り越えてこそ手に入れられるもの。

グローバル都市ならでは、つまりある意味でローカルな恋愛事情を題材にしながらも、誰もが
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スプリング・ブレイカーズ(2012年製作の映画)

3.8

ロックンロールの敗北から四半世紀あまり。EDMの巨大産業に踊らされる現代の若者たち。21世紀型退廃。その享楽主義はモラトリアムに許された期間限定の現実逃避に過ぎない。資本主義に懐柔され、公権力の監視下>>続きを読む

プレシャス(2009年製作の映画)

4.2

彼女の置かれた境遇にはまるで似つかわしくないドリーミーな光彩で語られるのは、どうにも救いようのない不幸に見舞われた人間が何とかすがっていられる妄想と、地獄のような現実とが混濁した情景だろうか。

暗闇
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ノー・エスケープ 自由への国境(2015年製作の映画)

3.2

折しも中間選挙に重なるようにして押し寄せるキャラバンに対し、トランプの「忠実な愛国者作戦」により派遣された武装兵士たちは有刺鉄線の壁を築く。そして、暴力で溢れる祖国を逃れ、ただ生きるための場所を求めて>>続きを読む

タイピスト!(2012年製作の映画)

4.4

哀しげに遠い目をするロマン・デュリスと、今この瞬間に瞬くデボラ・フランソワの瞳が、この恋の行く末を語り終えている。

古き良きロマンティックコメディへの憧憬が今の時代に映し返したのは、女性の自立心と、
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アナイアレイション -全滅領域-(2017年製作の映画)

4.6

無限に模倣を繰り返し合えば、やがて全てが同一化された完全なる調和は生まれる。
そこは時間や方角までも全てが消滅した0次元か、あるいは全てを同時に内在する高次元か。人間の知覚する限りにおいては何れも死も
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On your mark(1995年製作の映画)

4.7

過ぎし日の僕ら。映画は短ければ短いほど理想的だと友は言った。長ければ長いほど、叶うものなら終わらない映画を見ていたいと僕は応えた。
その両方を実現する、ほんの7分間のプロモーション・フィルム。まごうこ
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夢と狂気の王国(2013年製作の映画)

4.2

映画的情緒が淀みなく流れるように、前後のフッテージが螺旋的に繋がって響き合う構成と編集の巧さに舌を巻く。

数あるスタジオジブリのメイキング作品に嘗てなかった、記録映像の枠をはみ出してドラマを紡ぎ出し
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ラセターさん、ありがとう(2003年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「ミヤザキ-サン!」と呼び掛ける度にハグを求め、肩に腕を回し、ベタベタと過度なボディタッチをするジョン・ラセターの姿を見ていると、たとえそれが敬愛の表れだったとしても、例のセクハラ問題を想起せずにはい>>続きを読む

「もののけ姫」はこうして生まれた。(1998年製作の映画)

4.3

記号的、またの名をマンガ的な表現には殺意を抱いて忌避する。
類い稀な観察眼と空間認識能力を有し、天才と呼ぶ他ない神業なる“線”で象られるキャラクターには、生きた人間としてのリアリティが吹き込まれる。
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もののけ姫(1997年製作の映画)

4.9

長年テレビ台の左端を陣取るVHSで、時に高画質を求めてレンタルDVDで、そして金曜ロードショーで繰り返し放映される度に何度となく観るような、そんな映画は『もののけ姫』の他にない。いつ観ても決して感動が>>続きを読む

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

4.4

オカリナだろうか。『地下水道』から木霊するその音色はどこからともなく、辺りを舞う小鳥のさえずりとハーモニーをなして平和を歌い、礼拝堂に花を手向ける少女を迎える。
陽光の降りそそぐ草むらで気持ちよさそう
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地下水道(1956年製作の映画)

3.5

砲撃、銃声鳴り響く、瓦礫の山と化した廃墟の街並みより、糞尿まみれる地下水道の袋小路に、獣のような叫び声が残響する暗闇の地獄絵図よりもっと残酷な、光に照らされた絶望というものを私は初めて見た。

それら
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マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

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過去に呪われ、人生の復讐戦に身を捧げる敗残者。囚われの日々が盲目に見させる幻覚にも似た悪夢的なヴィジョンは、悲しいほどに正確に、現実化する近未来ディストピアのそれなのである。

世界は憎悪で溢れている
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SF/ボディ・スナッチャー(1978年製作の映画)

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真の恐怖は何処からともなく音も無く。目には見えない脅威が闇に紛れて忍び寄る。
気付いた時にはすでに遅し、変わり果てた世界に対抗する術もなく、ただ逃げ惑うばかりの少数者。

言葉を交わしているようで全く
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トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)

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耳をつんざく爆弾、銃声の雨をかいくぐるように流麗に動き続けるカメラの臨場感は、世界の傍観者を黙示録のカオスへあっという間に放り込む。
あまりに唐突で、性急な悲劇、絶望に見舞われようとも立ち止まることは
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浮き雲(1996年製作の映画)

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冷たい風が吹き荒む季節に。
人を人とも思わないような社会システムの貧乏くじを引かされ、切り捨てられた“労働者”たちの眼差しは、それでもまっすぐと前へ。たとえ弱音を吐こうとも涙は見せず、黙々と、淡々に、
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街のあかり(2006年製作の映画)

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負け犬をとことん追い詰めて掃き捨てるのがこの社会のやり方なら、そうか、そうすりゃいいさ。力には屈しても決して折られやしない心。何も持たざる弱き男がただ一つ立派に持ち合わせている、大層、厄介なプライドさ>>続きを読む

バニラ・スカイ(2001年製作の映画)

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レディオヘッド、アンダーワールド、ボブ・ディラン、モンキーズ、ローリング・ストーンズ、ビーチ・ボーイズ、スピリチュアライズド、シガー・ロス、そしてポール・マッカートニー……etc.
心のサウンドトラッ
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28日後...(2002年製作の映画)

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静寂の黄昏。人の消えた街に、高層ビルのガラス窓に反射する夕陽が光輝く。
歪んだレンズに覗く、絶望のはずの世界は白昼夢のように美しい。

世界の終わりで偶然出会った善人たち、疑似家族のロードムービーの得
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ゾンビ/ディレクターズカット完全版(1978年製作の映画)

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牧歌的なショッピングセンターの館内BGMと一緒に、この映画が描く終末世界こそが、恐怖としてではなく、安らぎのヴィジョンとして脳裏に焼きついている。
また、人間の愚かさを皮肉るメタファーとしての“生きる
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ストレンジ・デイズ/1999年12月31日(1995年製作の映画)

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世紀末の狂乱と未練。
世界が終わる日にこの人生も終える。
最期の時は、自分が自分であるための誓い、この愛に捧ぐ。

今はもう拒絶され続ける愛。しかし誰にも否定し得ない幸せがあった愛。
人生の欠片を拾い
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トータル・リコール(1990年製作の映画)

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夢の中でも“夢”を見ている。
いつかの“彼女”の影を追って、眠りの中では自分が主人公の大冒険へと旅立つ。

突飛なシナリオにも身を任せてハッピーエンドのキスを目指して。
なのにどうして、夢は必ずエンド
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イグジステンズ(1999年製作の映画)

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客観的事実とは、みんなで見る幻想に過ぎない。
“すべての現実はヴァーチャルである”
現実は作られ、演じられることでの産物である。

フィクションとセックスに生の体験を求め、その幻想の中でしか繋がり合う
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Re:LIFE リライフ(2014年製作の映画)

3.6

雛形通りの三幕構成に、まるでエッジーではないハートウォームな予定調和。一見、陳腐に見えるおとぎ話も、衝動に正直な物語であれば、あるいは映画に誠実な映画であるのなら、それは人生に必要なコメディの一編なの>>続きを読む

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