2MOさんの映画レビュー・感想・評価

2MO

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散文とロマンティック。
オールタイムベスト100 #EIGASEIKATSU2007-2016 の覚え書き。

映画(589)
ドラマ(48)

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

4.4

オカリナだろうか。『地下水道』から木霊するその音色はどこからともなく、辺りを舞う小鳥のさえずりとハーモニーをなして平和を歌い、礼拝堂に花を手向ける少女を迎える。
陽光の降りそそぐ草むらで気持ちよさそう
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地下水道(1956年製作の映画)

3.5

砲撃、銃声鳴り響く、瓦礫の山と化した廃墟の街並みより、糞尿まみれる地下水道の袋小路に、獣のような叫び声が残響する暗闇の地獄絵図よりもっと残酷な、光に照らされた絶望というものを私は初めて見た。

それら
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マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

-

過去に呪われ、人生の復讐戦に身を捧げる敗残者。囚われの日々が盲目に見させる幻覚にも似た悪夢的なヴィジョンは、悲しいほどに正確に、現実化する近未来ディストピアのそれなのである。

世界は憎悪で溢れている
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SF/ボディ・スナッチャー(1978年製作の映画)

-

真の恐怖は何処からともなく音も無く。目には見えない脅威が闇に紛れて忍び寄る。
気付いた時にはすでに遅し、変わり果てた世界に対抗する術もなく、ただ逃げ惑うばかりの少数者。

言葉を交わしているようで全く
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トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)

-

耳をつんざく爆弾、銃声の雨をかいくぐるように流麗に動き続けるカメラの臨場感は、世界の傍観者を黙示録のカオスへあっという間に放り込む。
あまりに唐突で、性急な悲劇、絶望に見舞われようとも立ち止まることは
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浮き雲(1996年製作の映画)

-

冷たい風が吹き荒む季節に。
人を人とも思わないような社会システムの貧乏くじを引かされ、切り捨てられた“労働者”たちの眼差しは、それでもまっすぐと前へ。たとえ弱音を吐こうとも涙は見せず、黙々と、淡々に、
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街のあかり(2006年製作の映画)

-

負け犬をとことん追い詰めて掃き捨てるのがこの社会のやり方なら、そうか、そうすりゃいいさ。力には屈しても決して折られやしない心。何も持たざる弱き男がただ一つ立派に持ち合わせている、大層、厄介なプライドさ>>続きを読む

バニラ・スカイ(2001年製作の映画)

-

レディオヘッド、アンダーワールド、ボブ・ディラン、モンキーズ、ローリング・ストーンズ、ビーチ・ボーイズ、スピリチュアライズド、シガー・ロス、そしてポール・マッカートニー……etc.
心のサウンドトラッ
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28日後...(2002年製作の映画)

-

静寂の黄昏。人の消えた街に、高層ビルのガラス窓に反射する夕陽が光輝く。
歪んだレンズに覗く、絶望のはずの世界は白昼夢のように美しい。

世界の終わりで偶然出会った善人たち、疑似家族のロードムービーの得
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ゾンビ/ディレクターズカット完全版/米国劇場公開版(1978年製作の映画)

-

牧歌的なショッピングセンターの館内BGMと一緒に、この映画が描く終末世界こそが、恐怖としてではなく、安らぎのヴィジョンとして脳裏に焼きついている。
また、人間の愚かさを皮肉るメタファーとしての“生きる
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ストレンジ・デイズ/1999年12月31日(1995年製作の映画)

-

世紀末の狂乱と未練。
世界が終わる日にこの人生も終える。
最期の時は、自分が自分であるための誓い、この愛に捧ぐ。

今はもう拒絶され続ける愛。しかし誰にも否定し得ない幸せがあった愛。
人生の欠片を拾い
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トータル・リコール(1990年製作の映画)

-

夢の中でも“夢”を見ている。
いつかの“彼女”の影を追って、眠りの中では自分が主人公の大冒険へと旅立つ。

突飛なシナリオにも身を任せてハッピーエンドのキスを目指して。
なのにどうして、夢は必ずエンド
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イグジステンズ(1999年製作の映画)

-

客観的事実とは、みんなで見る幻想に過ぎない。
“すべての現実はヴァーチャルである”
現実は作られ、演じられることでの産物である。

フィクションとセックスに生の体験を求め、その幻想の中でしか繋がり合う
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Re:LIFE リライフ(2014年製作の映画)

3.6

雛形通りの三幕構成に、まるでエッジーではないハートウォームな予定調和。一見、陳腐に見えるおとぎ話も、衝動に正直な物語であれば、あるいは映画に誠実な映画であるのなら、それは人生に必要なコメディの一編なの>>続きを読む

ゾンビ・ガール(2014年製作の映画)

3.8

アントン・イェルチン×ジョー・ダンテ節が光る、ハッピーハロウィンムービー。

クラシックホラーへのオマージュがそこかしこに、まさしく“死したる者に哀れみを、生ける者には安らぎと幸せを”夢見させる、この
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オートマタ(2014年製作の映画)

2.9

2044 A.D.

早晩、たかだか“凶暴な猿”は自然のサイクルからその姿を消す。
人類も神を殺して生き存えたように、生物はあまねく、自らの“プロトコル”を書き換えて適者生存の未来へ向かう。

パラサイト・クリーチャーズ(2013年製作の映画)

2.8

私的偏愛ゾンビホラー『ベルリン・オブ・ザ・デッド』の監督作品。
いかんせん未知なる“物体X”の造形がZ級なのが辛いが、何にせよ、世界の終わりを暗示するエンディングには心を和ませる。

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN END OF THE WORLD(2015年製作の映画)

3.7

「天国の奴隷」ならば「地獄の自由」を。
戦い続ける限り負けることはない。
君の中にある英雄を忘れるな。

ナルシスティックなカタストロフへの誘惑も、いくつもの青臭いパンチラインも、あれかこれか、ではな
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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2014年製作の映画)

3.7

自意識にのぼせ上り、檻の中の安寧で大言壮語を吐く憐れな子ども。
残酷な世界を救うどころか、たった一人の大切な存在すら守ることのできない泣き虫の狼狽が、いつ始まるやもしれぬ絶望の序曲に重なる。

Lea
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水曜日のエミリア(2009年製作の映画)

3.5

もう訪れることのない幸福の残像で未来は見えず、涙に暮れる人生であっても、悲しみの狭間に愛の瞬間は垣間見えるものだ。生きていれば。もう一度、生き直すことを選ぶのならば。そう悪いことばかりでもない人生もあ>>続きを読む

クリード チャンプを継ぐ男(2015年製作の映画)

3.5

固く握り締めた拳がリズミカルに、ミットを打ち鳴らす音はフィリー・ヒップホップと混ざり合い、この新たな変奏曲はラスト、ついに流されるあの旋律をもって巨星を継ぐ褐色のライジングスターは誕生する。
すでに歴
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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.7

核心に至るまでのいくつもの暗示が醸成する不穏に精神はいたぶられ、一種の催眠状態に見せられる恐怖の、“沈んだ地”のイメージのなんと息苦しいこと。
映画には終わりがあることに救われる。本作のウィットなそれ
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クソ野郎と美しき世界(2018年製作の映画)

3.0

逃走。喪失。再生。

現実とファンタジーの入り混じる、アイドルという名のドキュメント。彼らの、映画のような人生。その新たな旅立ちを告げる「新しい詩」と、ドラマ仕立ての冗長に過ぎるプロモーションビデオ。
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ふたりの男とひとりの女(2000年製作の映画)

3.8

千変万化、ジム・キャリーの独壇場にバカ笑いしてしまうのも、とびきりキュートなレニー・ゼルウィガーとのロマコメであわやうっとりしてしまうのも、アンチテーゼに貫かれるコメディの眼差しゆえ。
ファレリー兄弟
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砂上の法廷(2015年製作の映画)

3.4

無意識にまたは意図的に、記憶は少なからず改竄されていると見て然るべきものである。
事実に沿って都合よく脚色される各人の証言をすり合わせて、言葉は合理的な文脈に回収されていく。
しかし誰もがフラッシュバ
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パディントン(2014年製作の映画)

3.3

異国より長い船旅を経て、大都会ロンドンの駅に降り立つ「くまのパディントン」の姿には、どうしたって、“暗黒の地”を逃れてやってくる移民の寓意が見て取れる。
何でもないカルチャーギャップ“アクション”コメ
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王様のためのホログラム(2016年製作の映画)

3.3

透き通ったサンゴ礁の海を泳ぐ“ラブシーン”がとっても綺麗で。格別の余韻を残す。この映画のすべて、それで十分なんじゃないかな。
部屋に飾られた一枚の絵画のように。さりげなく日常の隅っこを彩るような、そん
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ワイルド・スピード ICE BREAK(2017年製作の映画)

3.1

前作スカイミッションに続き、エピローグを除いては全くの意味不明、荒唐無稽なアクションの連続に唖然とするだけのシリーズと化してしまった。

どこまでもファミリーの一員としてファンでいるつもりだったのも、
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ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

愛せずにはいられない。
愛を求めずにはいられない。
愛するためには他人同士、永遠の孤独であらねばならず、他人であればいずれ別れねばならない運命を孕む。
失うことを約束された安らぎを、それでも至上の命題
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デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー(2007年製作の映画)

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『メカニズモ』から『デンジャラス・デイズ』、そして『ブレードランナー』へ。タイトルも変われば、脚本も企画段階から一新され、室内劇は大きく世界観を広げて、その鮮烈なヴィジュアルイメージをもってSF映画の>>続きを読む

ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

3.8

もはや頬を伝う涙も降りしきる雨とも判別はつかず。何処からともなく乱反射する照明に目を伏せ、夜のとばりにいつか見た夢の続きを。

いずれ死にゆく運命を知って、なお生き続けなければならないことの絶え間ない
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特捜部Q キジ殺し(2014年製作の映画)

4.0

第一作『檻の中の女』が、一つ一つの手掛かりが一歩、また一歩と真相に近づいていく堅実なミステリーであったように、同じく今作においても、その軽妙な捜査の語り口は変わらない。
また、はみだし刑事のバディムー
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サンクタム(2010年製作の映画)

2.6

呼吸のできない、光のあたらない“聖域”。
人跡未踏の領域も深海と洞窟と、残るは地球を飛び出し宇宙の彼方へと……人知の及ぶ限りはそんなところだろうか。

限界に挑む“冒険”、あるいは生還することそのもの
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