南無阿弥陀

今日もどこかで馬は生まれるの南無阿弥陀のレビュー・感想・評価

4.5
人は、競馬といえばどんなイメージを抱くのだろう。
競馬を知らなかった頃のわたしは、ただのギャンブルで到底イメージの良いものではなかった。
テレビで華やかなレースを見る、そこで走る馬の生活を知る、生まれた場所を知る、人知れず生まれて競走馬になっていく馬を知る、その馬を育てる人を知る。そうして、競走馬になれない馬がいる事を、知る。
この映画を見る事で、日本が誇る一大産業の一端を垣間見ることができる。
馬が可哀想だ、ということは簡単だが競馬に関わる人はあまりにも多く、そうして人の夢をのせて馬は成長する。
もちろん、人の手によって犠牲になる馬も少なくはない。
みんなが幸せになることは難しいかもしれないが、SNSが普及し情報の発信が増え、知る人がふえることで、人のエゴによる犠牲を少なくするために手を伸ばす人も多くなってきた。

競馬をただ馬が可哀想だと言うのは簡単だが、一番残酷なのは何も知らないでそんな無責任な事を言うことだと思う。

実際、馬がどう思っているかなんてわからない。
だから競馬というシステムを作り出した人間が、最後まで責任を取るしかない。

1月になれば、また日本のどこかで競走馬になるであろう馬が生まれる。
星の数ほど生まれる馬の中で、華やかな馬生を送る馬は少ない。
そんな馬が一頭でも幸せに生きるには自分に何ができるか。そんな事を考えるきっかけとなる映画だった。
南無阿弥陀

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