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聖なる犯罪者のShoのレビュー・感想・評価

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)
4.1
少年院を仮出所した後、自分の嘘がきっかけで片田舎の司祭に成りすます主人公ダニエル(20)。冷徹な表情の中に純粋無垢な瞳がアンビバレンスなバルトシュ・ビエレニアが演じる。Bartosz Bielenia 1993年生


少年院でキリスト教に魅せられ退院後は神学校に通うことを望む主人公。犯罪者であるが故にその道を断たれてしまっている。そんな心の葛藤が、彼に自らを司祭であるという嘘をつかせ、偶然が重なり田舎町で偽の神父になりすます事になる。彼はただ神父になりたかっただけで、村人もある事件からの救いを求めてただけ。やがてその嘘で固めた彼の人物像には綻びが生じはじめる。
「誰も傷つけてない。」彼の人々を救済したいという思いまで虚構だったのか?聖職者である事の条件とは何なのか?と考えさせられる。

村人達と繋がることで、犯罪者からリアルな神父に変化していく繊細な演技が見どころ。主人公の登場により自ら善良と名乗る村人たちの裏側の実態が徐々に現れ、善悪の境が曖昧になっていく脚本も素晴らしい。ポーランドの片田舎を舞台に、何かしら心に傷を負った人々を、静かに淡々と描いてる演出が印象的だった。


Corpus Christi
Dir: Jan Komasa
Writer: Mateusz Pacewicz
DoP: Piotr Sobocinski Jr.
PD: Marek Zawierucha
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