聖なる犯罪者の作品情報・感想・評価・動画配信

「聖なる犯罪者」に投稿された感想・評価

おかだ

おかだの感想・評価

4.2
町にやってきた司祭が
実は少年院から出てきた偽物の司祭だったという可能性に溢れたプロットのみに頼らず
内容で魅せるというスタイルに惹かれる。
また、どの人物にも寄り添うことなく
完全な第三者視点で構成することで
観る側に受け取り方を委ねるという手法が良かった。
カメラ割りも優秀で
表情を撮る際の構図や町の映し方など工夫が見られた。

さて、人が罪を犯すとき
しばしば「ラインを越えた」と表現されることがある。
しかし、私はこの表現が全てに当てはまるとは思わない。
人生という道で、歩みを進める我々の目の前にあるのは、明確なラインではなく、下り坂ではないだろうか。
欲望や本能に駆り立てられた人間が
下り坂に一度足を踏み入れると、落ちていくのは非常に簡単である。
しかも、ほとんどの人間が下っていることにすら気が付かない。
そして、来た道を振り返ったときに初めて
自分がしたことの愚かさに気付かされるのだ。
つまり、人間の行動の入り口の
善と悪に明確な境界などないのだと思う。
そのことを踏まえて
マタイによる福音書 第7章の
"人を裁くことなかれ
しからば汝らも裁かれざらん"
という一節を思い出してみる。
我々は、人の罪を裁くのではなく
まず自らの罪を見つめ直すべきなのだと感じる。
善と悪・裁きと赦し などの、人間を取り巻く様々な要素の難しさを感じる作品だった。
司祭になりすました犯罪者の実話。最後まで「神父のあるべき姿」の先入観が抜けなかったが、主題は愛と赦しで、彼は神に近づいたと思った。
   子供の頃から親しんでいた神父さまは柔らかい眼差しで暖かく、そこにいらっしゃるだけで人を明るくし癒す存在だった。タバコもお酒も美食もする。巨大な体躯でハーレーにまたがり台風の中を遠くから我が家へやってきて、ジョークも楽しく、今生きていることの喜びも教えてくださる。

私は信者ではないが、「父」という大きな存在であり、天国を説く以前に今の中に希望を見いだし励ますことのできる人格者だと思っている。

神父さまは厳しく自分を律し抑制し、犠牲を払っているから道筋を示せるわけで、そこから醸し出されるお人柄は言葉を通さずに伝わってくる。信徒はその生き方を感じとり働きかけ、信徒との関係で聖職者は自己を見つめ直していく正のループがある。一方的な権威ではなく、人びとの中に入っていく親しみやすい存在だ。

人格者は言葉以上に生き方を証明するから、言葉だけでアジるのは扇動者だったり、まやかしだったり、詐欺師とも言える。

私は信者ではないが、神の前では正直であるべきで、それが基本だと思う。

一方、ダニエルは痛々しく不安定でエモーショナルで、信徒を導くのではなく、自身が導かれたかった自身の魂の欲求が先にある。

ダニエルは自身の中の暴力性に気づいた時点で、自身の罪を自覚し恐ろしくなった。そこに救いがあると思った。

自分で罪を認めた「罪びと」がいちばん神に近い。

最後の解釈は分かれそうで、繰り返す無限の罪か、罪悪感のフラッシュバックで抑制されるのか、私は後者だと思いたい。

(彼、罪びとに)赦しを与えるのは神なのか、人なのかが観ている自分に問われていた。

この世から罪はなくならない。告解してリセットされるのは、人は生まれ持って原罪があり、また何度も罪を犯すのが前提にあるからだ。

その罪びと、つまり人間の魂の叫びをダニエルは神父になりすまして、罪びと自身のほしい言葉を語った。事故の遺族には伝わった。罪びとでなければ語れない言葉だった。遺族の母親に初めて伝わった。あれは罪びとの告解だった。
なお

なおの感想・評価

3.5
ダニエルは少年院出所後、立ち寄った教会で聖職者と間違われて、そのままな神父になりすまし。
カリスマ性があり、ダニエルの説教によって村人が救われたことも事実である。
なりすましは罪だけど、性虐待する神父もいるわけで、本物、偽物って重要⁉︎とも感じてしまった。

(字幕)
ふとしたことから、過去を隠して聖職者になりすました仮釈放中の青年の物語。このプロットは西川美和監督の『ディアドクター』を思い出した。
少年院時代の司祭の説教を見様見真似で展開し、自論でもって立ち振る舞っていき、快感を得ていく。この主演のバルトシュ・ビィエレニアの目つき、狂気の表情がなかなかの凄み。
偽りと善行。現実と理想の葛藤がうまく描かれていた。

このレビューはネタバレを含みます

赦しを乞う気持ちと、絶対に赦さないという気持ちが神を存在させてると思う。最も解決できない矛盾だ…
Makoto

Makotoの感想・評価

3.8
画面の通底に醸される独特の不穏な空気感、なんとも言えない緊張感が続く

どんな気持ちになれば良いのか
年齢を重ねる毎に印象の異なる作品になりそう
惨状魔

惨状魔の感想・評価

4.0
バルトシュ•ビィエレニアの顔がいい。
ハイになってクラブで踊ってるとことか。
最後もいいね
odyss

odyssの感想・評価

4.0
【聖者と罪人のあいだ】

殺人を犯して少年院に入れられていた若者が、少年院を出て、遠い町の製材所に勤めるはずが、その町の聖職者に収まってしまい・・・という筋書の映画です。

実在の事件をもとにしているそうですが、そうかも知れないなと思いました。

特にこの場合、年少者が犯罪を犯して少年院に入れられて・・・という設定ですから、少年院で聖職者の説教に接して、自分もああなりたいと思うのは、自然なころだと感じられるんですよね。

聖職者になるためにはそのための学校を出なければならないわけですが、彼は自分の実体験をもとにした説教をして、地域の住民から好感を持たれる。いや、ありそうなことだと思いました。学校で教わる形式的な説教より、型破りの説教のほうが斬新で、地域住民の感性に訴える力を持つわけですよね。

この映画のもう一つのキモは、若者が来る直前に起こった交通事故。一台には若者6人が、他方には初老の男が乗り、正面衝突して全員が死亡した事件。この事件が地域住民の関係に大きな影響を及ぼしている。主人公は、教会の実務の仕事をしている若い女性(その兄がこの事故で死去)の助けを借りて、事件の真相に迫っていくのです。

このエピソードがバカにならないのは、教会の聖職者は地域住民との関係において存在が認められるのであり、したがって地域社会内部の事件と無縁であることはできない、という実態がはっきりと示されているからです。聖職者というと実生活の生臭さとは無縁の存在のように見えますが、実は地域社会のこのような側面と密接に絡んでいるんですよね。

それ以外にも、製材工場のオーナーであり町長をも務めている中年男との関係も、地域社会でのキリスト教の役割を暗に表現していて、真実味がありました。

というわけで、複数の視点から見て、深い意味を秘めた映画だと評価できるというのが、私の感想です。
seven

sevenの感想・評価

-
記録 (字幕)

聖職者になりたいな、なれない...成り済ましちゃいました!むしろ可愛い。

ダニエルは色々な罪を犯していたみたいだけど観客が嫌悪する程の卑劣な人物である描写が無いからテーマの一つでもある善悪については思う所が特に無かった。
もし彼が誰もが嫌う様な人物として描かれていれば、深酒司祭カムバック後の遺族のあのシーンへの感想が色々と出て来たはず。

本筋と関係無いけど乗る音楽がめちゃくちゃ東欧ぽくてアメリカのそれとは全然違うのが興味深かった。テクノ?ドイツも同じタイプのイメージ。
ぷると

ぷるとの感想・評価

3.6
人の持つ2面性を描いた作品なのかなと感じた。
犯罪者と聖職者、暴力的な心と純粋に人を助けたいという心。
人は皆どちらの素養を合わせ持ち、ちょっとしたきっかけでどちらかに転び、かと思えば正反対へ転がり落ちることだってある。
それを自分だけで選択できればそりゃいいんだけど、ままならないよね。
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