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ようこそ映画音響の世界へのjamのレビュー・感想・評価

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)
4.2
私たちは母親の胎内で40週もの間
大切に育まれ 少しずつ成長して
この世に生を受ける

その途中、いつからかはわからないけれど
母の鼓動を子守唄に
愛情と安心を受け取り世界がはじまる


その鼓動…柔らかな心音をバックに始まるこのドキュメンタリーは様々な人々の
音への情熱と愛情、こだわりを伝えるもの


映画音響へのこだわり、と言えば
私の中で唯一無二である映画館、
立川シネマシティ


"長い人生の間でもごくまれにしか訪れない
「自分の番が回ってきた」という感覚"
というこの映画はまさにシネマシティで観るべき、と"極上音響上映"へ


無声映画にあらたな命を吹き込んだ音、
そして音楽の歴史
先人たちの功績を辿る

ハリウッドの名だたる巨匠たちのもと
共に研鑽を積んできた音響デザイナー、技術者たち
彼らひとりひとりが切り開く音の世界は
やがて才能の輪によって映画に命を吹き込む


都心のシネコンにはない独自性を求めて
シネマシティが選択したのは"音響"へ特化すること
自ら"音狂のシネマシティ"と名乗るとおり
mayor sound社のスピーカーを鳴らすのは
製作者の意図する音を再現するために専門家が細かく調整した、それこそ"極上"の音
時に極上はさらに爆音となり
私たち観る者の心を震わせる


映画に対する真摯な姿勢
作品への愛情を受け止めて
一本の映画が他にはない特別なものになる

新たな音響設備を売りにする他の映画館にはない、不思議な感覚
私を包み込むのはもちろん素晴らしい音と
スタッフの心意気


映画の最後にスクリーンに現れたのは
シネマシティからのメッセージ


あなたの心を奪うその瞬間のために
私たちは研ぎ澄ます
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