クリスマスを目前にして、突如世界の情報が書き換えられる。当たり前の"非日常"を送ろうとしていたキョンだったが、いつもの教室に涼宮ハルヒの席がないことで、その改変に気づくのであった。ジュブナイルSFアニメの映画作品。
シナリオ構成。ちゃんとサプライズもあるけど、王道な展開。どれだけその人やその時間が大切だったのか、失ってから初めて気づく。キョンの独白は、やれやれ系主人公にありがちでベタなんだけども、演出も相まって素直に感動した。
改変された世界。キョンが望んでいた"当たり前"の日常がある世界。そこで出会った長門は、キャラクター像が大きく異なる。今映画でのもうひとりの主人公である長門だが、普段の無表情という仮面の下には素直な"感情"を秘めていたんだなあ、と思わされる。
屋上、雪が降り始めて。キョンが『ユキ』と言い、空を見上げると雪が降り始めていた。長門目線だとハッピーエンドではなかったのだが、この場面でのやりとりには、霧が晴れたような救いを感じさせられる。
作中の季節は冬であり、まさに冬らしい寂しさを感じさせる物語。長尺だけど、全く苦にならない面白さ。原作は詳しくないが、"涼宮ハルヒ"という作品においては、今回の話が大きなターニングポイントになりそうである。