焼きぷりん

涼宮ハルヒの消失の焼きぷりんのレビュー・感想・評価

涼宮ハルヒの消失(2010年製作の映画)
4.4
クリスマスを目前にして、突如世界の情報が書き換えられる。当たり前の"非日常"を送ろうとしていたキョンだったが、いつもの教室に涼宮ハルヒの席がないことで、その改変に気づくのであった。ジュブナイルSFアニメの映画作品。

シナリオ構成。ちゃんとサプライズもあるけど、王道な展開。どれだけその人やその時間が大切だったのか、失ってから初めて気づく。キョンの独白は、やれやれ系主人公にありがちでベタなんだけども、演出も相まって素直に感動した。

改変された世界。キョンが望んでいた"当たり前"の日常がある世界。そこで出会った長門は、キャラクター像が大きく異なる。今映画でのもうひとりの主人公である長門だが、普段の無表情という仮面の下には素直な"感情"を秘めていたんだなあ、と思わされる。

屋上、雪が降り始めて。キョンが『ユキ』と言い、空を見上げると雪が降り始めていた。長門目線だとハッピーエンドではなかったのだが、この場面でのやりとりには、霧が晴れたような救いを感じさせられる。

作中の季節は冬であり、まさに冬らしい寂しさを感じさせる物語。長尺だけど、全く苦にならない面白さ。原作は詳しくないが、"涼宮ハルヒ"という作品においては、今回の話が大きなターニングポイントになりそうである。
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