ゆず

「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択のゆずのレビュー・感想・評価

4.5
NHKのドキュメンタリー番組を意識したという総集編。現実の戦史・宇宙開発史の延長線上にある架空の歴史"宇宙戦艦ヤマトという時代"を、当事者である真田志郎へのインタビュー音声(CV.大塚芳忠)とナレーション(CV.沢城みゆき)で紡いでいく。

よくある総集編とは違い、テーマを絞って「宇宙戦艦ヤマト2199」「2202」を再構築しているので、テーマが鮮明に浮き上がって一本の道筋として見ることができる。デスラー総統やズォーダー大帝がどんな思いで動いていたかがまとめられているし、第二次世界大戦やアポロ11号月面着陸など現実の歴史を絡めることで人類史の一部としてこのシリーズを捉え直すこともできる。

終盤は芳忠さんの独壇場となるのだが、これがすごく泣ける語りになっている。
「2202」のラストがそもそも泣けるのだが、前述の通り、「ヤマト」が私たち人類の物語だと認識した上で見ることになるので、より心に響く。
人は愚かだし現実は残酷だ。だが人は"愛"を知っているし希望はいつもある、ということを本作が教えてくれた。2021年、絶望に日々晒される中で見ると余計に沁みる。

「ヤマト」初心者の入門編としては私はオススメしないが、「2199」「2202」を見た人が新作「2205」の前にシリーズを歴史という観点から総括するにはうってつけだと思った。こういう形の総集編も良いと思う。それだけ作り込まれた世界観だということでもある。
なので、初心者はぜひ「2199」第1章から飛ばさずに見てほしいと思います。
ゆず

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