麻生さくや

運命じゃない人の麻生さくやのレビュー・感想・評価

運命じゃない人(2004年製作の映画)
3.7
婚約を解消して「もうひとりで生きてくしかないのか」と途方に暮れるマキ。
彼女との結婚を考えてマンションを購入した矢先に彼女に逃げられたお人好しの宮田。
宮田の中学からの親友で探偵をやっている神田。
宮田を捨てて逃げ出したアユミ。
アユミへの未練を断ち切れない宮田と「早く次を見つけろと」アドバイスをする神田。
そこに偶然出くわした行くあてのないマキを元カノの部屋に泊まらせてあげることにした宮田だったが、そこへ自分の荷物を取りに戻ってきたアユミと鉢合わせてしまう…

…という恋愛のゴタゴタを描きつつ、その裏で巻き起こっていたヤクザがらみの事件を巧みに混ぜ込んだ伏線回収型のストーリー。
「ゴールデンスランバー」→「アフタースクール」からの流れでリピート鑑賞。
伏線と構成の巧みさはどの映画も面白くて、今作も組長の素顔のパートなんかは微笑ましさがあって好きなのだけど、基本的に人間の裏表と欲を描いていて「人を信じるのは難しい」って場面ばっかりなのが気分を沈ませてきます…
特に「運命じゃない人」は信じても騙されて裏切られるって繰り返しが多いから、「ゴールデンスランバー」「アフタースクール」に比べると「それでも信じていれば」っていうカタルシスに欠けて、なかなかリピートして見ようっていう気持ちには…なかなか。
「現実はそんなもん」「映画みたいにうまくいかない」って意味では一番リアルな映画なのかもしれないけど、その現実がまた切ない後味に。

伏線たっぷりの脚本と構成は面白いので、そういうのが好きであれば一見の価値は十分にある作品です。
麻生さくや

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