もりかわ

カサブランカのもりかわのネタバレレビュー・内容・結末

カサブランカ(1942年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

モロッコに旅行することが決まり、その国を舞台にした名作を飛行機で観ることにしました。

めちゃくちゃ良かったです。

ヒロインと夫はモロッコからアメリカに行かなければ命が助からないり
主人公は二人のアメリカ行きのチケットを預かっている。
だけど、ヒロインはかつて主人公を捨てた、忘れ難い恋人だった。

シンプルですが、自分に置き換えたとしても葛藤するのが目に浮かぶ状況です。だから感情移入がすごくスムーズでした。ただ憎いだけの相手なら、チケットを破り復讐は完了な訳ですが、そうしないところにこの映画の面白さが詰まっています。

主人公は仕事ができるレストランのオーナー。ドライに見えるけど、困っている人がいたら放って置けないタイプ。だから、因縁の元恋人だとしても見捨てることはできない。

ヒロインは、めちゃくちゃに美人。主人公が夢中になっしまい、振られた傷が癒えなくても致し方あるまい…と納得させられる。

ヒロインの夫は、第二次世界大戦下において、レジスタンスを組織する幹部。主人公はヒロイン夫のことをリスペクトしている。出来ることなら助けたいと思うような、良いやつだから、話はややこしくなる。

つまり、主人公が葛藤するようにキャラクターとイベントが置かれています。主人公の感情がシーソーのように揺らぎ、飛行機のチケットを二人に渡すか、あるいは別の行動に移すかが最後まで見逃せませんでした。

個人的にはすごく好きなのが、セリフのテンポです。相手の答えの一歩、二歩先を行く会話が続いているので凄く大人に感じます。

物足りない点として、登場人物たちの感情の動きが直線的な部分です。
例えば、ヒロインは主人公と再会し、「夫ではなく、あなたとアメリカに行きたい」と告げます。最初、僕はこのセリフは夫と逃げるためのブラフだと思っていました。ですが、最後まで観るとこのセリフは彼女の本心だと分かり、ヒロインの好感度が微妙に下がりました。夫も好きだけど、主人公と過ごした日々の輝きも忘れられない。そんな彼女の葛藤が描写不足だったように感じました。

ただ、そんな細かいこたぁ良いんだよ、と思わされるハッピーエンドでした。
もりかわ

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