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セバーグ/セバーグ 素顔の彼女のwatawataのレビュー・感想・評価

2.5
タイトルから想像されるようなセバーグの伝記映画ではない。この作品は、フーバー元FBI長官の指揮下で行われた過度な不正盗聴と、その背後にある人種差別の深い闇を描いたサスペンス映画だ。

セバーグは金髪の白人女優という容姿、そして人気女優という立場ゆえ、ブラックパンサーへの支持という行動が目立ってしまい、FBIの標的となる。FBIによる執拗な盗聴は彼女の地位を脅かし、やがて精神を壊していく。

そして盗聴しながらその様子を傍観してきたFBI職員ジャック。彼は罪の意識に苛まれ始め、ある行動に出る。

ラストシーンでこの作品は、ジャックの行為に対する評価を観客に委ねる。

個人的な見解としては、どうにもモヤモヤする。彼の行為は、彼の立場から言えば、勇気あるものと言えるかもしれない。だが、彼の“仕事”の標的が受けた心の傷の前には、自己満足にしか映らないし、むしろ傷を深める行為だったようにも思う。

モヤモヤさせられたのも制作者の意図するところなのかもしれない。

またクルステン・スチュアートが素晴らしく、セバーグの反骨精神を見事に表現しているばかりか存在感も強く、他の役が霞んでしまうような気さえする。

ちなみにNetflixで試聴したが、字幕に誤字脱字が多くて気になった。翻訳も所々分かりづらい。
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