人生の大半を刑務所で過ごした裏社会の男(役所広司)が殺人で13年の刑期を終えて、出所し、真っ当な人生を目指していく。
裏社会に入った経緯は母親に手放され施設に入っていた生い立ちに問題があるのか、本人に更生の意思はあれど容易に社会復帰ができない社会の仕組みに問題があるのか。
一人の実在した人間を通して、しっかりと考えてもらいたいという思いが伝わりました。
出所後5割の人はまた刑務所へと戻ってしまう。その原因の一端はおそらく社会にもあるんだろうと思う。
でも結局のところどれだけその人の周りに本気で心配し、怒ってくれる人がいるか。「あの人のためにも」と思える人がいるのか、そこも非常に大切だと感じた。
ヤクザ稼業の女性が「堅気の仕事をしていると空が綺麗に(大きく)見えるって言うよ」と。この言い回しも"私たちは世間様に顔向けできないことしてるから、綺麗に見えるはずないのさ"という後ろめたさが入ってると思った。
タイトルの「すばらしき世界」も結局は、同じ環境でも感じ方は人それぞれ。でもね、どんな環境でもすばらしいって思える人を増やしていくことはできるし、そうしなきゃいけないよね、ちゃんと考えようねって言われてるような感覚になりました。
ラストシーン、エンドロールへの演出も個人的に好きでした。
全体的にシリアスなだけではなく、ほっこりする場面も多く、周りに薦めたい素敵な映画です。
