●素晴らしき世界とは
社会復帰という、現代の日本の社会の不寛容さを浮き彫りにしていた
▶感想
"一度外れたレールには戻れないのか"
役所広司の主人公が好きになっちゃう。元ヤクザで暴力性がありながらも、優しくて真っ直ぐな人物として描かれていて、そうした人間らしさに惹かれて彼の社会復帰を応援している自分がいたような気がする。重いテーマながら彼のユーモアさに何度も笑ったし、そんな映画の雰囲気が最高で、もっと見ていたいと思えた。
周りの人物も心優しくて、少しずつ彼を後押しする感じが微笑ましくて、素晴らしき世界を想像した。不当な仕打ちをする社会に反発しつつも、そんな気持ちを抑えて生きる三上に成長を感じて、綺麗な話だったなと思っていたら...
エンドロールの数分じゃ足らんほど、モヤモヤとしたやるせなさが頭の中を駆け巡った。その瞬間まで三上の辛さを理解しきっていなかった自分に気づかされた。この息苦しい世界に疲れてしまったのか。素晴らしき世界とは一体なんだったのか。真っ直ぐ生きるってそんなに難しいことなのか。非常に考えさせられた傑作だった。
役所広司はまじでバケモノ俳優。改めて凄さを実感した。