いわさん

すばらしき世界のいわさんのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.2
とても感銘を受けたよい作品の中で、「楽しかった!」「感動した!」「よかった!」などの単語で気持ちをレビューに残しやすい作品と、どの単語を使ってもうまく気持ちを現せない、気持ちをすっきりさせるには原稿用紙何枚も使ってしまうような作品がある。

この「すばらしき世界」は私にとってまさに後者の作品で、たぶん整理がつかないままになるので、せめてメモだけは残しておきたいと思う。

■整理したい課題
・社会と個人。社会にしがみつくのってなんでだっけ?
・いろいろなことと折り合いをつけていくこと、そうする自分を受け入れることが大人になるってことだなと気づき、大人になったけれど、最期までそのままいっちゃっていいのかな。
・みんなで一生懸命、誰も望んでいるわけでもない住みにくい社会を作っているんじゃないか?
・社会の多面性、個の多面性
・レッテル貼り。貼られたくないけれど、貼りたがる。その方が、脳が楽。
・頭では解っていることと実際の自分の気持ち。「前科」とか「(元)反社」とかいう言葉、ひとへの自身の反応。
・「すばらしき世界」ってタイトル、自分なりの腑に落ちる解釈にぜんぜんたどり着けていない。

■印象に残った好きなシーン
数々あるけれど、特に
・キムラ緑子の座敷シーンと路上シーン
・リリーさんとのやつ。三上(役所広司)のやさしさ感じた。
・女の子の年齢を指で数えるところ
・津乃田(仲野太賀)が背中流すところ
・就職祝いの席で、三上を見つめる津乃田の独特な表情(解釈に迷った)
・元妻(安田成美)との電話
・空
・長澤まさみの全シーン
・役所広司の全部が凄い。なんか凄い。
・「すばらしき世界」のタイトルの出し方

この作品、西川美和監督から「問題提起はしたよ。あとはそれぞれ考えてみてね」って投げられた感じだった。しっかり咀嚼してぇ~よ~。
いわさん

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