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すばらしき世界のichikoのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.0
ラストシーンで、これは否定の物語だと強烈に感じた。
最後の最後にぽんっと突き放されたような。この世界に生を受けるってこういうことなんだろうか。

生涯の20年以上を堀の中で過ごし、シャバで正職に就こうと奮闘する三上と、彼を支える温かい周囲の人たちとの「シャバも捨てたもんじゃない、すばらしき世界」とはどうしても思えなかった。

コスモスの彼ひとり守ることができない。真っ直ぐすぎる人間はうまく生きることができない。空が広いだけの、すばらしき世界。

逃げる、という言葉を聞いたときの津乃田の表情の変化が印象的だった。
誰もが自分の信念を持って、一生懸命生きている。登場人物ひとりひとりの生活の機微を感じ取れるような、繊細な作品でした。

いい映画を観ました。
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