人生の大半を刑務所で過ごしてきた元殺人犯の男は、下町の片隅で暮らしており、番組のネタのために取材を受けていた。ヒューマンドラマ作。男の優しさや人思いな面もありながら、強面でカッとなるタイプであり、社会で生きていく楽しさや実感が描かれつつも、ヤクザだった男だからこその生きづらさや辛さが随所で描かれており、色濃い人生がある。男の社会に触れ、優しさに溢れていく姿が素敵に描かれているからこそ、その反面で社会の現状がよりのしかかって見えて、生々しく心苦しくもなる展開が多々。役所広司の演技は見応えがある。タイトルの意味が結末の演出も踏まえるとより感慨深くなる。