この世界は我慢が多いし、面白いこともない。でも空は広い。
確かに三上の暮らす世界は我慢が多くて特に面白そうなこともない。たまに過去の血が滾って暴力を振るい、そんな時だけ活き活きとしている。
そんなつまらない生活は僕らの生活にも似たようなことが言える。ボロいアパートで暮らしながら生活保護でまずしいけど、一方で丁寧に暮らそうとする様子はちょっと良かった。
自分も生活の一つ一つに意味や面白みを見出すことは難しいけど、こういった作品を見ると、それらに少し意識を振り向けることができる。生活のひとつひとつに意識を投げやって、丁寧に暮らすことは、幸せになるために不可欠なことのような気がする。
三上もそういった暮らしを目指そうとしつつ、なかなか上手く社会と折り合いがつかずに、暴力や怒りに身を任せたりする。「今は猫を被ってるだけで、いつかはでかいことをやってやる」と嘯いたりもする。その後ラストに向けた選択をしていくわけだけど、その選択が結局良かったのかどうなのか、この映画は敢えて答えを出していない。
三上のように特殊な生い立ちでなくとも、同じような生きづらさは僕にもある。その点すごく共感できたのが良かったと思えた点。
途中わざとらしいくらい良い人達に恵まれるところとか、タイトルも含めて皮肉が効いている。
