SUGO6

すばらしき世界のSUGO6のレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
5.0
兎にも角にも、役所さんの役者としての凄みである。

この人の体の中できっとこれまで演じてきた様々な人格と、役所広司という人間が積み重ねてきた業が激しくぶつかり合っているのだろう。そうして生み出される、禍々しくも愛おしい、一種の狂気みたいなものが見るものを惹きつけてやまないのだと。そんなものを冒頭の裸一貫の姿から見せつけられたような気がした。

そして、思い知らされるのは、一度過ちを犯したものに対する、世間というものの冷たさよ。そうした現実と、接する人々の苦悩や背景に少しでも思いを馳せることができたのであれば、観る者にとってこの映画をより意味を成すのではないかと。

最後の印象的なタイトルの出し方など全体的な演出も含めて、素晴らしかった。西川美和さん作品に外れなし。
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