このレビューはネタバレを含みます
劇場での鑑賞。
Filmarksでレビューを目にしてから、ずっと気になっていて、ついに本日鑑賞できました〜!
役所広司さん演じる〈三上は〉まじめで、時に少し笑ってしまうくらいチャーミングな部分がある愚直な人。
しかし彼は十犯六入、人生の大半を刑務所で過ごしてきたのだ。
三上は殺人の罪から服役し、社会復帰を試みる。
そんな三上をテレビで特集しようと津乃田と吉澤が彼に近づく。
殺人を犯した三上。彼の真っ直ぐすぎるが故の生きづらさ、そしてそんな彼をとりまく人々を切なく、愛しく、描いた作品。
鑑賞前に公式サイトでパラサイトの監督を務められているポンジュノ監督のロングレターを読みました。
以下引用です。
------------------------------------
表情や目つき、わずかな手の動きや仕草で
主人公の人生の履歴を余すところなく表現してしまう
役所広司の驚くべき説得力にあらためて感服した。
--------------------------------
〈人生の履歴〉なんて素敵な表現、、。
まさに監督の仰る通り。
三上という人物のことをたった2時間しか見ていないのに、彼の生い立ちから形成された性格や、物事に対する姿勢、余すところなく役所さんの表現から感じ取れてしまう。
本当に素敵な作品を見てしまったと、開始早々感じました。
三上が苦しい時はこちらも苦しい。
三上が幸せを感じた時はこちらも嬉しい。
同じ感情を共鳴できるのは、その役者さんのお芝居が素晴らしいからだなと。
出てくる人、全員、愛すべき人達で
苦しくもあり愛しくもある作品でした。
個人的には、やはり
キムラ緑子さん演じる明雅の妻が好きでした。
三上の背中を押すシーンでのセリフ、最後のエンディングの〈すばらしき世界〉とテロップが出た時に、より心に刺さりました。
〈娑婆は我慢の連続ですよ。でも、空は広いちいいます〉
すばらしき世界、とは何なのか。
皮肉なのか、何なのか。
三上はすばらしき世界と思うことができたのか?
コスモスの花言葉は〈調和〉
最後に彼は、この世界に、周りの人々に調和しました。
調和することは幸せなのか。
真っ直ぐで不器用な彼の幸せが、空の向こう側で続けばいいなと思います。