鷲尾翼

すばらしき世界の鷲尾翼のレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#335

【まとめ】
* 心地いいヤクザコメディ
* 後半はガンバレ三上!
* 第二の「更生」を抉る

本作は役所広司演じる人生の大半を刑務所で過ごしてきた元殺人犯が社会のレールから外れながらも、悪戦苦闘する姿を描いた物語。

本作で印象的なのがヤクザの捉え方。
主人公の三上は、元々組織に属さない一匹狼として活動してきたため、大きな刺青や何針も縫った傷口が体に残っている。刑期を終えた前科者に加えて、三上にとって優しくない今の社会は少し考えてしまうテーマ。

そんなテーマの中でも、便利な社会に不慣れに奮闘する三上の姿はどこか愛くるしい。

後半はとにかく「ガンバレ、三上!」と応援したくなる。
真っ直ぐな三上の周りに次第に応援してくれる人も増えていく。意外なところから人脈が生まれ、その人が例え仕事として三上に接してても、その中の確かな関係を描いている。

本作で特徴的なのが冒頭の三上。
刑期を終えた三上に自ら犯した罪について問われると「俺は正しいことをした」と答える。更生とは程遠い、ただ長い刑期の満了を待ち続けただけの男が「更生」に近づいていく姿は僕のような若者にも心に響く姿で感動した。

本作のキャッチコピーは「社会と人間の今を『えぐる」問題作」

まぁ、えぐられました。
鷲尾翼

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