Mikea

すばらしき世界のMikeaのネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

自分の周りの人たちを1番大事に想って幸せにするきもち。

三上のまわりにいる身元引き受け人の夫婦、太賀(役の名前で言わないんかい)、スーパーの店長。みんなが三上を見守ってて、ときには距離を置いたりして良い距離感で関わってる関係性がとてもうらやましかった。

三上はまじめがゆえに社会規範のようなもののギリギリを綱渡りしているような、見ていてハラハラする生き方をしていた。

親戚がすごく親しくしてる人の息子さんは同い年で生まれつきの障害を持っていて、どうにか就活をして清掃の仕事をしていると聞いた。障害を持ってる介護職員を見て、真っ先にその子を思い出した。私は会ったことがないけど、話を聞いていると虫を見て喜んだり花の美しさを感じるのと同じように純粋な感性を持っている人だと思う。

私は介護施設でのシーンに苛立ちや絶望、悲しみを感じた。
誰にだって間違えてしまうことがある。介護の仕事をこなすのは本当に難しい。人の命を預かる身としてほったらかしにしてしまったのは「間違いもある」「しょうがない」と言って解決する話ではない。彼にもどかしさを感じることがあるのはとても分かる。それでも受け止めなければならないと思う。100%でなくても、少しでも。清掃の仕事をしている子がどんな環境で働いているのだろうと、気になった。

中学のときに障害をもっている子がいた。私たちと同じように授業を受けて(一部違ったけど)学校行事も参加していた。私は同じクラスになったことがなかったのと中学を卒業してから6年くらい経ってるので記憶も曖昧だけど、みんな必要最低限の会話しかしていなかった印象がある。私もそうで、たまに話しかけたり、何かできてないときに助けるくらいだった。
宿泊行事のとき、大浴場でふとその子が視界に入った。よく見たら何でどこを洗うか分かっていなかったようで、でも泡は付いていて洗うスピードかなり遅かった。もうひと通り洗ったようだったが泡は残っていた。私は髪はこれで洗うんだと手伝ってシャワーで泡を洗い落とした。みんながどんどんお湯に浸かって、大浴場から出て行って焦ったのを覚えている。
中学の私は友達と話したい時間を彼女に割いたことが少なくなかった気がする。でも今同じようにそれをすることができるだろうか?自分を優先してしまわないだろうか?

介護施設で障害を持っている職員に暴力を振るったり、排除したのは他の職員に「余裕」がなかったのだと思う。自分が生きていくのに精一杯、体力も精神も使うのにそれに見合う給料はもらえない。余裕さえあれば優しい人でも状況によって優しさを出せないことだってあるだろう。

少しでも余裕を持てる社会にしたい。
どうする?まずは選挙に行こう。
Mikea

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