見終わった後にしばらくぼうっとしてしまった。
中盤あたりから、三上がどうか報われてほしい、幸せでいてほしいとずっと願ってしまっていた。
前半が思うようにいかなくて苛立っている反面、後半の自分の出生に触れてから、憑き物が取れたように毎日を生きる三上が本当に微笑ましい。
大切な人の期待に応えることが、周りに迎合することになるというのが皮肉だった。
コスモスの花を受け取ったとき、いったいどんな気持ちだったのかを想像するだけで切なくなる。
きっとこういう葛藤をたくさん経験して、もっと人生が豊かになるはずだったのではないかな。
本作で、自分にとって、悲しませたくない人、大切な人がいることは本当に大事なことだと思った。なにかと「社会とのつながりを持つことは必要」と言われるけど、まさしくこの映画の三上はそれを体現しているのではないかな。
また、「親からの愛情がどれだけ影響を及ぼすのか」というのも、根幹としてはここに関わってくるのだと思う。
みんなが悪者じゃなくて血が通っている人間だと分かるのがよかったし、
三上のひたむきな姿もまた、津野田をはじめ周りの人にも影響を与えてしまうのだよね。
たくさんの偏見は出てくるけど、あえてなのか差別が濃く描かれないのが印象的。
免許、生活保護、良い意味でも悪い意味でも、社会の秩序や規範はみんな公平。